私たちは、お金を対数目盛で考えている!?
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リーマンは、ライブドアがニッポン放送株を取得するための資金を、転換社債型新株予約権付社債(MSCB)を引き受けて用立てた。MSCBは市場価格より10%低い価格でライブドア株に転換できるため、リーマンは決して損をしない仕組みで、リーマンは最終的に100億円以上の利益を出した模様だ。一方、村上ファンドも、保有するニッポン放送株の大半を、取得価格を大幅に上回る価格で2月中に売却し、利ざやを稼いだとみられている。
また、ニッポン放送からフジテレビ株を借りて筆頭株主となったソフトバンク・インベストメントは、メディア事業に投資する新しいファンドを設立、フジテレビなどから180億円の資金を集め、ビジネスチャンスを広げた。
ライブドアグループが保有するニッポン放送株をフジテレビが取得し、ニッポン放送を子会社化するほか、フジテレビはライブドアの第三者割当増資に応じ、12・75%出資する。フジテレビがライブドアに支払う金額は計1474億円となる。
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S:リーマンって数学者のリーマン?
T:違うよ。米国ウォール街の投資銀行で、リーマン・ブラザーズという会社。数学者はベルンハルト・リーマン。さて、この記事に出てくるお金の大きさを、私たちは想像できるだろうか。
S:ホリエモンがどうしてこんなに儲けられるのかわからんな。
S:元の金額が大きいから、10%といっても大きな金額になるんだ。
S:結局誰が損をしたの?彼らが儲けたということは、誰かが損をしたということではないの?
S:フジテレビじゃないの?でも、何だかわからないね。
T:ここに出てくる100億円とか1000億円って、どんなお金だろう。
S:見たことがないから想像できないよ。
T:私たちは、次のようにお金を数えるよね。
1万 10万 100万 1000万 1億 10億 100億 1000億 1兆 10兆
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10-4 10-3 10-2 10-1 100 101 102 103 104 105
S:10倍にしていくね。ということは、10の指数で表せるということか。
S:仮に、1億円を10^0とすると…。
S:あれ?上の金額を指数で表すと、結局、対数目盛になっている。
S:でも、お金には0円があるよ。左側に無限に目盛をとっていけるの?
T:1円の10分の1の金額って知っている?
S:10銭だ。50銭硬貨を見たことがあるよ。
S:どんどん小さい金額を考えていくこともできるよ。
S:そうか。私たちは意識しないで対数目盛を使っていたんだ。
S:そうすると、この対数目盛を普通の目盛に直すとどうなるんだろう。
0 100億 500億 1000億円
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10億円(10分の1)
S:1億円なんか目盛に表せないよ。
S:逆に対数目盛りだと、大きな金額になればなるほど開きが大きくなるのに意識されない。
S:1億から10億への変化と1兆から10兆への変化が同じように感じてしまうもんね。
S:面白いことに気がついたよ。この上の目盛と下の目盛は相似でしょ。
0 100万 500万 1000万
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10万円(10分の1)
S:つまり、1000万円持っている人にとって、1万円はそんなに大した金額ではない。同じように1000億円持っている人にとって1億円はそんなに大した金額ではない。
S:1000円しか持っていない人にとっての1円とおなじことか。あれ何だか変な気がするな。
S:もし1000円しか持っていなかったら、1円は結構価値があるよ。
S:持っている金額が少ないほど金額には値打ちが出てくるんではないの?
S:でも、利息は金額が多い少ないに関わらず同じでしょ。10万円の0.01%と1億円の0.01%は割合は一緒だけど、金額には大きな開きがある。
S:そうか。割合が同じだから、相似とも言えるし、対数目盛で金額を考えてしまうのか。
S:利息が同じだということは、お金を持っている方が有利ということだね。
S:金持ちは金を持っていない人より金が入るということだな。
S:お金のない人から見たら大きな金額だけど、金持ちから見たら同じ割合なんだ。
T:ということは、私たちは普通の目盛よりも対数目盛でお金の値打ちを考えていることになるね。普通の目盛ではお金の値打ちはかなり違うのに、対数目盛だと1億円と10億円を、1円と10円と同列に扱ってしまう。これを逆に考えると、私たちはその実際の金額とは違う価値観でお金を見ているのではないだろうか。
S:1000億円なんて、大したことがないように考えてしまうね。
T:それでは、実際の金額を心理的な価値に置き換えると、どんな関数になるだろうか?
S:対数目盛にすればいいんじゃない。
S:関数に直すと、実際の金額をχ円として、心理的な価値をy(心円)とすると、y=logχだよ。
T:対数目盛を数値にしたんだね。実際に計算してみよう。
100円は、y=log(102 )= 2 (心円)
1万円は、y=log(104 )= 4 (心円)
100億円は、y=log(1011)=11 (心円)
1000億円は、y=log(1012)=12 (心円)
S:なんだか変な気がするね。
T:でも、私たちは無意識のうちに、金額をこういう数に変換しているといえるんだ。
S:対数目盛なら違和感はないのに、数値にすると変だと感じてしまう。
S:ところで、1円の2倍と100円の2倍はどちらも同じ2倍だけど、金額で表すと大きな違いがある。同じ2倍にも違いがあると考えた方がいいのですか。
S:そういえば、1才と2才の時は2倍だけど、年をとっていくと比はどんどん1に近づいていくことが不思議だったな。
T:私たちは2倍ということを同じだと考えるね。それは対数で考えているということなんだ。2倍は、対数グラフで表すと、どこであっても幅が同じなんだ。
S:対数ではかけ算は足し算になるから、log(χ×2)=log(χ)+log(2)。logχからlog2だけ増えるから同じ間隔というわけですね。
S:ところで、さっきからなぜ10gが出てくるの?
S:10gじゃなくて、log(ロッグ)だよ。対数目盛を考えてみるよ。
0 0.1 0.2 0.3 0.5 1 1.1 1.2 1.3 (対数)
log1 log2 log10 log20 (対数)
100 100.1 100.2 100.3 100.5 101 101.1 101.2 101.3 (指数)
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1 1.25 1.58 1.99 3.16 10 12.5 15.8 19.9
1 2 10 20
このようになるんだ。つまり、1の2倍も10の2倍も同じ幅ということがわかるよ。
S:2倍が同じだから、10倍も幅が同じなんだ。1円の2倍でも10億円の2倍でも幅が同じなんだね。
S:1億円と10億円の真ん中は5億円だと思っていたけど、この対数目盛だと3.1622776601…億円なんですね。
S:あれ?このアイデアを使って、かけ算を足し算にすることができるんじゃない?!
T:感覚(心理)量については、【人間の五感は対数変換している】のページへ
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