籠目編みで正八面体を作る
オイラーの多面体定理の応用における理論と実践
T:正八面体を作ったのは全く理論から。
今度は職人が経験から生み出したものを理論から裏付けてみよう。
以前、直方体を作ろうとして五角形だけではできなかった。
S:五角形が12個必要なので、頂点が8個ではうまく割れないからだね。
T:でも、ちゃんと職人は作っている。(教えていただいたビデオ)
職人の方たちは籠目編みで直方体をどうやって作っているのだろうか。
S:確かに直方体になっている。
なるほど、五角形だけでなく七角形をも利用するのか。
S:五角形と七角形で打ち消し合っているんじゃないの。
S:これはオイラーの多面体定理で理論化できる!
117、オイラーの多面体定理の使い方・・・七角形の不思議 (2010.4)
S:今まで六角形と五角形を考えてきたけど、六角形は打ち消して消えてしまう。
(6y/3+y−6y/2=0 だから)
とすると、五角形と七角形だけで計算したらどうなるか。
五角形の数をx、七角形の数をyとする。
頂点の数 + 面の数 − 辺の数 =2
(5x+7y)/3+(x+y)−(5x+7y)/2=2
これを計算すると、
x−y=12 となる。
S:つまり、五角形の数−七角形の数が12になれば良いのだ。
S:実際にこの籠のビデオでは、10個の五角形と4個の七角形を作っている。
S:10−4=6
多面体の半分だから12÷2=6で見事に当てはまる。
S:上の蓋も作ってかぶせると、
20−8=12
T:経験から理論にあてはめることもまた面白いね。
左辺の図。五角形が5個で七角形が2個。差は3個。反対側も同様に3個差。
上の辺の図。六角形だけで出来ている。
夢中になって作ってしまった。
後は持つところの処理。
T:ところで、この直方体の籠は職人の方たちが経験から作り上げてきたもの。
その経験を理論化してみよう。
角を4つにするためには左右対称でなくてはならない。
理論的には次の図のような構造が考えられる。
でもこの図はあくまで頭の中だけのもの。
だから実際にできるのか確かめたくなる。(実践化)
S:右側の最小の直方体を作ってみよう。
本当にできるのか、どんな形になるのか。紐はどう繋がっているのか・・・。
二時間ほどかけてようやく完成。
真上から見る。
正面から見る。
真横から見る(側面)
T:理論と実践のつながりがいろいろな学びを創り出すんだ。
S:職人の籠だと多面体ではないよ。
T:実は多面体にしたのは理論的に追求したかったからで、籠ではこの半分を作れば良いからね。
鉄線編みはこのすきまを埋めていけば良いと思うけど、竹で作る時はその方法は不可能だと教えてもらった。
T:オイラーの多面体定理の式を見ていたら気がついた。
今まで六角形(籠目編み)を基本に考えてきたけど、四角形と三角形だったらどうなるのだろうと。
式で計算してみる。
四角形にすると井桁になるので頂点と重なる面は4個あり、
したがって頂点の数を4で割らなければならない。
四角形の数をx、三角形の数をyとする。
(4x+3y)/4+(x+y)−(4x+3y)/2=2
4x+3y+4x+4y−8xー6y=8
y=8
四角形の数はいくつでもよく、三角形の数が8だと立体になる。
なんだ、これだったら底面が4個だから正六面体が簡単にできるのではないか
と思い作ってみた。
頂点が三角形になっていることがわかるだろうか。
「そういえば竹籠は底面が4か所尖っていたな」と思い出した。
その理由がオイラーの多面体定理によって説明できた。
大分県/真竹(青竹) 菱目かご | 種類から探す,かご(籠),くずかご | 暮らしのかご・ざる・み 市川籠店 (takekagoya.com)
このかごの作り方は方向が上の写真とは異なる。でも丈夫そうで合理的。
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