0 と 1
― 二つの対称軸 ―
1、0を中心に対称
0と1は、特別な数です。
0は加法の単位元 → マイナスが逆元 → 正負の数の対称性
1は乗法の単位元 → 分数が逆元 → 指数の対称性
加法の単位元というのは、その数を加えても変わらない数で、乗法の単位元というのは、その数をかけても変わらない数のことです。
さて、この図は、2本の数直線を平行にして、上の数を平方したものを下の数に対応させたものです。(y=x2)
これを見ていて、何か気にならないでしょうか。
まず最初に気がつくのは、0を軸として対称であるということです。
それは、あたり前で、
・・・−3 −2 −1 0 1 2 3・・・
と並ぶことからもわかります。
0を中心に1の逆元が−1、2の逆元が−2・・・です。
実際に、y=x2 のグラフは、線対称になります。
そして、y=x3 では、原点で点対称です。
2、1を中心に対称
さて、もう一つ気がつくことは、1を中心にしても対称になっているのではないかということです。
でも、0のところで、おかしくなっています。
それは、なぜでしょう。
1は乗法の単位元で、その逆元を並べると、
・・・1/4 1/3 1/2 1 2 3 4・・・
となります。1を中心に対称です。
ところが、数直線はそうなっていません。
この数列の左側は無限に続き、0には決してなりません。
さあ、これをどう考えたらいいのでしょうか。
そこで思いつくのが対数目盛です。
・・・10-2 10-1 100 101 102 ・・・
この数直線は対称です。
上の、2乗の対応図を対数目盛で描くと、100=1を中心にきれいに対称になるのです。
実際にy=x2のグラフを、対数目盛で描くと、1を中心に点対称の直線になります。⇒【64、対数グラフと指数法則】
そうすると、対数目盛は、自然な乗法の対称性を示したものであり、数直線は加法の対称性を示したものといえるのではないでしょうか。
つまり、グラフには、0を中心にした「加法グラフ(=数直線)」と、1を中心にした「乗法グラフ(=対数目盛)」があるということです。
対数グラフというと新しいようですが、それに近い考え方は昔からありました。
それは数の位です。
万 億 兆 京 ・・・
・・・糸 毛 厘 分 割 一 十 百 千 一 十 百 千 一 十 百 千 一 十 百 千 一 十 ・・・
10-510-410-3 10-210-1100101102 103104105106107108 1091071081091010・・・
というように、昔の位は指数で対称に並んでいます。
3、y=ax が、片対数グラフで直線になるわけ
aは定数です。y=ax を表にすると、
x: -2 -1 0 1 2 3 4
y: a-2 a-1 a0 a1 a2 a3 a4
これを見ると、xはyの指数に比例しているので、片対数グラフで描くと、「原点」(0,1)を通る傾きaの直線になることが分かります。
なお、対数目盛は指数を目盛ったものです。
4、指数法則
ax×ay=ax+y ax÷ay=ax-y (ax)y=axy
これを使うと、次の計算が予測できます。
○a0=a1-1=a1÷a1=1
○(a1/2)2=a2/2=a1=a だから、a1/2=√a。 同様にa1/3=3√a。
○a-1=a0÷a1=1/a1=1/a
○a-n=a0÷an=1/an
5、指数を拡張すると、全てy=xa と表わされる
x → y=ax
↓ ↓
1 → a
↓ ↓
2 → a2 (平方)
↓ ↓
0.5 → a0.5=√a (平方根)
↓ ↓
0 → a0=1
↓ ↓
−1 → a-1=1/a
2乗 → 平方根 √ → 1/2乗
↓ ↓ ↓
n乗 → n乗根 n√ → 1/n乗
となり、平方根も指数に統一されます。というわけで、
・・・y=1/x2 y=1/x y=1 y=x1 y=x2・・・
=x-2 =x-1 =x0 =x =x2
さらに、y=x0.5=√xとなり、指数にはどんな実数をあてはめても大丈夫だということがわかります。
これらの関数は、y=xaとなります。
6、y=xa が、両対数グラフで直線になるわけ
表で表わすと
x:…10-1 100=1 2 3 4 5 … 101 102 103…
-------------------------------------------------------------------------------------
y:…10-a 1a 2a 3a 4a 5a … 10a 102a 103a…
これは、x とy の両方の指数どうしが比例しています。
したがって、両対数グラフで、「原点」(1,1)を通る傾きaの直線になるわけです。
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