正多面体が5種類しかないわけ

 正多面体とは何かをはっきりさせます。同じ正多角形のみでできている多面体と定義しましょう。
さらに、同じ点からは同じ数の面が出ている多面体とします。

【1】  まず、平面を正3・4・5・6角形で埋めると、図のように6角形までで DCP03006.jpg (11609 バイト) 7角形以上は埋めることができない。

【2】  多面体をつくるには面が3つ以上必要。
しかも、その3つの角の和は360度よりも小さくなければならない。

【3】  したがって、正六角形では3つの正六角形で平面。
そこから1つ取ると面は2つになり多面体はできない。
同様に7角形や8角形以上も作ることはできない。

【4】  ということは、3,4,5角形でしか正多面体をつくることができない。 ここからは実際に正多面体を作ってみよう。

【5】  最初に、正4角形でつくる。
上の図のように正方形を1つとって3面にすると組み立てられる。
では面は全部でいくつ必要だろうか。
面の数をχとすると点の数は四角形だから4χ。
一つの点に3つの面が重なるのだから3で割って4χ÷3個。
辺の数は同じく4χだが、ひとつの辺には面が二つ重なるので 4χ÷2=2χ個。

【6】  ここでオイラーの多面体定理を思い出そう。
「点+面−辺=2」だから、上の個数を当てはめると 4χ÷3+χ−2χ=2。
これを解くと、χ=6となって6面体ということがわかる。 (この説明は実際に作ってみるほうがわかるかも)

DCP03010.jpg (6089 バイト)【7】  次は3角形で多面体を作ってみよう。
三角形をひとつ取ると、ひとつの点に5つの面が重なる多面体ができる。
この多面体は何面あるのか方程式を作る。
面の数をχとすると点は三角形だから3χ個だけれど、一つの点に5面が重なるので5で割って(3/5)χ個ある。
また、辺は3χ÷2個だから、オイラーの定理に当てはめると(3/5)χ+χ−(3/2)χ=2となる。
これを解くとχ=20となって、正20面体ができる。

DCP03011.jpg (5859 バイト)【8】  こんどはの写真の右のように三角形を二つ取ると、一つの点に4つの面が重なる多面体ができる。
上と同様に方程式を立てて解くと、χ=8で、これが8面体。

【9】  さらに三角形を3つ取ると、一つの点から3つの面が出てくる多面体ができる。
これが、正4面体。
もうこれ以上はとることができない。
したがって、3角形でできる正多面体は3種類。

DCP03007.jpg (4152 バイト)【10】 最後に、正5角形を考える。
右の図のように組み立てていくと、ひとつの点に3つの面が重なる。
これもオイラーの定理に当てはめると、(5/3)χ+χ−(5/2)χ=2となり、χ=12となる。 これで正12面体ができる。

【11】 以上のように3種類の正多角形でしか作れず、三角形3種類+四角形1種類+五角形1種類で計5種類。
だから、正多面体は5種類しかない。

【12】 オイラーの定理についてはまず平面でやってみて、次に立体で確かめてみてください。
平面では「点+面−辺=1」です。



【応用】1
ビーズで正多面体を作ることができます。
ストローと紐で正多面体を作ることは簡単にできますが、ストローをビーズにするのです。
左から4面体、6面体、8面体、6面体から作った8面体、12面体。12面体から作った20面体。
これをよく見ていると、ビーズを頂点とみなすか辺とみなすかで、6面体と8面体、12面体と20面体というペアが浮かび上がってきます。


【応用】2
正多面体を織ることができます。セパタクローは正12面体と言えます。
不思議なことに7角形でできる多面体も作ることができます。
116、籠目(カゴメ)編みとフラーレン・・・セパタクローからサッカーへ (2010.3)
117、オイラーの多面体定理の使い方・・・七角形の不思議  (2010.4)

【応用】3
ジオジェブラで正多面体を作ったり動かしてみましょう。
237、≪ジオジェブラ・ブック≫ 正多面体を作ってみよう ・・・正多面体の作り方とその性質  (2016.9)

【応用】4
万華鏡でも正多面体を作ることができます。その方法とは?
147、鏡の世界 ・・・鏡(テーパー万華鏡)で探る正多面体 (2013.11)


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