木の年輪を調べよう(年輪の数学)

 「春の小川」 高野辰之作詞・林柳波改作・岡野貞一作曲/文部省唱歌(四年)

  春の小川は、さらさら行くよ。
  岸のすみれや、れんげの花に、
  すがたやさしく、色うつくしく、
  咲けよ咲けよと、ささやきながら。

  春の小川は、さらさら行くよ。
  えびやめだかや、こぶなのむれに、
  今日も一日、ひなたでおよぎ、
  遊べ遊べと、ささやきながら。

 この小川って、どこを流れているんだろう。どんな川だろう。
 私には、えびやめだか、ふな、ドジョウ、サワガニがいる昭和30年代の懐かしい田んぼの風景が浮かぶ。よく手入れされた里山があり、小川(用水)があり、田んぼがあり、川がある。そんな風景である。

1、年輪の堅いところは、秋にできる

T:この写真の杉の木の年齢を調べてみよう。
S:年輪を数えれば年齢はわかる。真ん中はどこかな? 1,2,3,4…,90,91,…97本。ほぼ100才だ。すごいな。
T:この年輪は、木にとって年齢を示しているだけじゃなく大事な役目を持っているよ。
S:木目がきれい。(それは人間にとってだろ。)
S:年輪があるから木は頑丈になる。
S:育つのに便利。(なんで?)
S:そういえば、育つのは一番外側だけだ。内側の年輪は成長していないんだ。
S:年輪の内側は過去の自分なんだね。貝と同じだよ。
S:じゃあ、貝みたいに螺旋にならないのはなぜなの?
S:全ての方向に広がっているからだよ。

T:第1問【ところで、年輪はなぜできるの?】
S:冬があるからじゃない。冬になると育つのがゆっくりとなって密になる。
S:冬には葉っぱが落ちるから木は育たないんじゃない?
S:針葉樹には葉っぱがあるよ。木は冬でも育っているよ。冬は寒いから縮こまって育つんだ。
T:ところで、木はどうやって生長しているの?
S:光合成だろ。光をデンプンに変えているんだ。
S:もし、冬に育たないとしたら年輪の堅いところは何時できるの?
S:秋かな。
T:そうなんだ。実は白いところが春に育ったところ、堅いところは夏や秋に育った所。冬には木は育たない。茶色いところは冬に育ったように思うけど、これは夏から秋に育ったものなんだ。
S:硬い所は冬に育つと思っていたけど、秋だったのか。知らなかった。
S:そうすると、四季のないところでは年輪ができないの?
T:サバンナのように雨期と乾期があるところにはえる木には年輪ができるらしい
S:ラワンに年輪がないのは、1年中、同じように育っているからなのですね。
T:木の幹が大きくなるのは、表皮のすぐ下にある形成層という部分の細胞が増えるため。夏と冬の季節がはっきりしている地域では、春から夏にかけて盛んに成長をしますが、これは膜の薄い大きな細胞がたくさん出来るからです。夏の終わりから秋にかけては、太陽光線が弱くなって膜の厚い小さな細胞ができ、冬には成長が止まります。幹はこれを繰り返して成長するのですが、夏の終わりから秋にかけて出来た細胞の集まりは小さく膜が厚いために、茶色く輪のように見えます。これが年輪です。だから年輪は、1年に1つ出来るのです。
S:もし、夏に1ヶ月くらい光が当たらなかったら年輪ができて、1年に2つの輪ができるのかな。

T:第2問【木の上の方で切っても、年輪の数は同じだろうか?】
S:違うよ。一番下が年輪の数が多い。上の方へ行けばだんだん数が少なくなる。
S:きっとこうなっているんだ。(右図)
S:木は上にも横にも大きくなっているんだ。
S:そうすると、木は相似形に育っているみたい。
S:小さな木も、大きな木も大きさを同じにしたら区別ができないということかな。
S:あれ、区別はできると思うよ。→【二進木】・【フィボナッチ木】のページへ
S:このソフトは、上に伸びるのと横に太る率を別に設定したんでしょ。本当はどうなっているのかな?同じかもしれないし、違うかもしれない。
S:この成長率を変化させて、シミュレーションさせてみたら面白そう。
T:ところで、幹が2つの枝に分かれるとすると、幹の直径と次の2つの枝の直径の間にはどんな関係があるのだろうかということを考えた人がいる。
S:もちろん枝は小さくなるよね。そうすると、枝+枝=幹になるんじゃないの?
T:もっと考えてみて。枝は何を運ぶの。
S:樹液を運んでいる。そうか、樹液は合流するから樹液を運ぶ容量、つまり面積が合わさるんだ。
T:これを考えた人は、レオナルド・ダ・ビンチで、この考えをパイプモデルという。今、君が考えたように幹の直径^2=枝の直径^2+枝の直径^2となる。
S:これはピタゴラスの定理と同じだよ。→【ピタゴラスパズル】へ
S:本当かな。幹の円周でも同じことが言えるんでしょ。木の円周を測って確かめてみなくっちゃ。
 →【二進木のパイプモデル(1)】・【フィボナッチ木のパイプモデル(2)】のページへ(クリックすると「ActiveXコントロール」L3 Playerのインストール許可を求めます。インストールは数秒で済みます。)
 →【二進法・木の枝別れの法則について

S:もう一つ、疑問が出てきた。枝は幹が大きくなるとどうなるの?枝も外側に行くの?
T:木を切ったり割ったりすると、木の中から枝が出てくる時があるよ。年輪は枝も巻き込むように大きくなっていくんだね。

T:第3問【切り株で南北がわかるか?
S:年輪がふくらんでいる方が南だよ。山で迷ったとき、切り株を見れば南北がわかると聞いたことがあるよ。
T:本当かな。じゃこの木の年輪はどっちが南なの?
S:あれ?わからないや。
S:でも、光の当たる方が光合成が盛んで、成長するんではないの?
T:うーん。南だからといって必ずしも年輪が膨らむとはいえないかもしれないな。山の北側の斜面は北の方から光が当たるよ。それに、間伐や枝打ちをしっかりやって手入れされた山の木の年輪は、かたよりが少ない。
S:そうしないと商品にならないよ。
参考資料【〜切り株から方角がわかるか〜

2、木は二酸化炭素を取り込んでいる

T:第4問【森林は地球温暖化を防いでいると思いますか?】
S:温暖化の原因は二酸化炭素でしょ。木は二酸化炭素を吸って、酸素を吐くから防いでいるはず。
S:木を燃やすと二酸化炭素が出るもんね。
S:木は炭素を蓄えているんだ。じゃ、どれくらい炭素を含んでいるのだろう。
T:乾燥した木材100kgは約50kgの炭素をふくんでいる。このことから、どれだけの二酸化炭素をふくんでいるのか計算できる。
S:炭素の量から二酸化炭素の量を求めることなんてできるんですか?
T:できますよ。二酸化炭素はCO2でしょ。Cの原子量は12、Oの原子量は16。よってCO2の原子量は、12+16×2=44。
S:そうか、わかった。比例を使えばいいんだ。C:CO2=12:44=50:χ
χ=183、つまり、183kgの二酸化炭素をふくんでいることになる。
S:木が二酸化炭素を取り込んでいるというよりは、100kgの木を燃やすと183kgの二酸化炭素が出てくるということですね。
S:ということは、木がこれだけの二酸化炭素を含んでいるということだよ。
S:そうすると、木の重さか体積を求めると、二酸化炭素をどれだけ含んでいるのかということがわかるんですね。
S:ところで、一本の木の重さはどれくらいなんですか?
T:調べてみよう。まず、木の重さと体積はどちらが簡単に求まるだろうか。
S:重さのほうが簡単じゃない。だって、はかりにのせるだけじゃん。
S:あんな大きな木を計るはかりはないよ。体積を求めてから重さを計算した方が簡単だよ。

3、木の体積の簡単な求め方

T:第5問【木の体積はどうやって出すのでしょうか?】
S:さっき、木は相似形で育つとわかったでしょう。そうすると丸太の形は円錐台でしょ。円錐台の体積は、えっーと…。
S:底面(大きい円)の面積をa、上面(小さい円)の面積をbとした場合、円錐台の体積=(a+b+√ab)×h÷3【円錐台の体積とシンプソンの公式のページへ
S:ややこしいよ。上の切り口の半径と下の切り口の半径と高さを求めなくっちゃならないね。
T:そうなんだ。この公式は実際に求める時にはややこしいということで、現場の人たちは次の公式を使っている。
  木の体積=末口の直径^2×高さ
S:末口って何?
T:材木の小さい方の切り口のこと。
S:直径の2乗では大きすぎるし、3.14がないけどどうしてだろう?
S:これは、概算だよ。計算をできるだけ簡単にしているんだ。
S:わかった。直径は2×半径だから、2乗すると4×半径の2乗でしょ。
S:3.14の代わりに4を使っているのか。でも、これだと大きすぎるよ。
S:末口は小さい方だから、大きい方の半径も考えに入れて、4にしたんじゃない。
S:3.14×(1.13×半径)^2と計算しているということだね。
S:でも、この計算は大きめに見積もり過ぎていないかな。

S:体積が求まったとして、今度は重さを求めるにはどうしたらいいんですか。
T:木の比重を調べてみよう。杉・檜は0.4、松は0.5、ケヤキは0.6〜0.7ということがわかっている。
S:そういえば、木は水に浮くもんね。
S:結局一本の木の重さはどれだけなの?
S:例えば、高さ25mで幹の直径が0.28mの80年のトドマツの体積は0.76m3。つまり、重さは、760g×0.5=304kgだ。380kgと考えて、これに1.83をかけると、二酸化炭素は約670kgだ。炭素だけだと190kg。
T:ちなみに、一人の人間が一年間に呼吸して出す二酸化炭素の量は240kgだよ。

S:ところで、切り口は完全な円なの?
T:インターネットで調べてみたら、どうやら木の種類によって楕円になったり円に近かったりする。(各円板の半径を平均化し、正円として生長経過を調べるので、円形指数(各円板における長径に対する短径の割合)を算出してみた。その結果、平均でヒノキは1.05と円に近く、スギは1.13と1.16でともに楕円形であった。)
参考資料【マツの年輪に刻まれた歴史

4、木は相似形に成長している?

T:第6問【直径と高さの関係は? 比例しているか】
ここに、杉とヒノキの成長の記録があります。年齢と高さと直径の関係はどうなっているのだろうか。

樹齢     10年    20年     30年     40年    70年
杉 高さ  3〜5m 10〜14m  12〜18m 17〜23m  40m 
   直径 4〜6cm 10〜13cm 15〜25p 20〜30cm 1〜2m

檜 高さ  3〜5m 7〜12m   9〜13m  11〜15m  30m 
   直径 4〜5p 8〜12cm  12〜18cm 18〜25p 1〜1.5m

S:グラフにしてみよう。
S:年齢と高さは比例していない。最初の成長が早い。
S:でも、高さが2倍3倍になると直径も2倍3倍になっているみたい。
S:ということは、高さと直径はだいたい比例している。
S:つまり、木は相似形に生長していると言っていいね。
S:でも、70年以上は直径の方が大きくなっているよ。
S:ずんぐりむっくりだ。
T:生長量を調べたデータによると、
             スギ1、スギ2、 ヒノキ
 材積は、      0.7126、0.7856、0.6265m3
 平均年生長量は、0.0123、0.0136、0.0109m3
「しかし、いずれも比較的初期の段階での生長が著しく、例えばスギ2では10年で7.3mの高さに、20年で14.5mの樹高に達していた。しかし最近の生育は衰え、樹高生長率でヒノキはほぼ1.6%、スギの場合は1%以下となっていた。
 また材積生長率では、スギ1とヒノキは4%台であるのに対し、スギ2は2%を割っていた。これは周辺環境の影響もあるとは思うが、スギ2は初期生長が大きいだけ、逆に最近の生育低下が顕著になっている。」

T:第7問【木は体積に比例して生長しているのか。面積に比例して生長しているのか】
木の高さと直径は比例して成長することがわかった。木は最後の年輪の外側が生長する。では、この生長して増えた部分の体積は何で決まるんだろうか。
S:貝の場合は、貝の大きさ(体積)に比例していたよ。
T:ところで、光合成の量は葉の面積に比例する。では、葉の数は、何に比例するんだろうか。
S:木の高さに比例するかな。
S:高さが2倍なら葉の数も2倍ということはないよ。もっと多いような気がする。
S:葉のつくのは面積だから、木の高さの2乗に比例するんじゃない。
S:葉の数は体積に比例するといえないかな。
S:もっと少ないような気がするな。例えば、高さの2.5乗に比例するとか。
S:インターネットで調べたらこんなデータが書いてあったよ

幹の周囲(p)  : 10 30  50  70 100 150
葉の総面積(u): 10 60 130 200 400 800

これを対数グラフにしてみたんだ。そうしたら、葉っぱの総面積は幹の周囲の1.605乗に比例していることがわかった。
S:ということは、葉の数は直径の1.6乗に比例しているということか。
S:だとすると、木の生長も直径の1.6乗に比例しているかもしれないね。
T:このように、木の生長が体積に比例しているか面積に比例しているかは、重要な問題だろ。
S:もし、年輪の間隔が同じなら、増えた部分は体積に比例しているよ。
S:それなら年輪の幅を見れば、体積に比例しているのかどうかわかるはずだよね。
S:調べてみよう。

「スギ1、2およびヒノキの平均年輪幅は、それぞれ2.84、2.75および2.86mmであったが、いずれもその分布のバラつきは著しく、とくにスギ2の場合では最小の0.7mmから最大の8.3mmまで範囲は広がり、初期肥大生長が著しかったことを示している。これは戦中・戦後の手入れ不足に起因しているものと思われる。しかし有名林業地といわれる箇所で調査したスギの例でも、やはり初期の肥大生長は大であり、年輪幅の変動係数は30−40%にもなっていた。
和歌山地方演習林では、現在造林木に対し常に一定の年輪幅を保つよう育林に意を注いでいる。これに対し天然のアラカシでは、1.3m高の円板の場合平均1mm以下で、しかもそのバラつきは殆んどみられなかった。」

S:どうやら、年輪の幅は一定ではないようだ。
S:気候や台風が来たりすれば、生長は変化するよ。
S:でも、一定の木もあるんだよね。アラカシは体積に比例して生長しているんだ。
S:年数と体積(重さ)をグラフにすると対数グラフになるということだね。
S:写真を見ると、年数がたつにしたがって、年輪の幅が少しずつ小さくなっている。体積には比例していないような気がするな。
S:下の方のグラフを見てよ。年輪幅は気候によって変動があるけど、幹半径は一定の割合で増えていると思わない。
S:グラフはほぼ直線だよね。つまり、半径が比例しているということは、体積に比例して生長しているということですよね。
T:これだけのデータでは、「木の生長は、長さの1.6乗に比例しているか、面積(長さの2乗)に比例しているか、体積(長さの3乗)に比例しているか」はまだ結論が出ないね。みんなの宿題にしよう。

S:ところで、考古学で、遺跡で使われていた木材の年輪を調べたら何時ごろ切られた木かわかるという話を聞いたことがあるよ。
S:気候の変化で木の育ち方も違うんだよ。
T:このグラフを見てください。年輪の幅が一定でないことは気候によりますね。逆に年輪でその年の気候がわかる。これを年輪分析という。
S:年輪を見ると何時ごろ育った木かもわかるんですね。

5、木を切ると木が育つ?

S:環境の保護のために木はできるだけ切らない方が良いんでしょ。木を燃やしたり、腐らせたら二酸化炭素が出てくるから。
S:でも、日本では木の手入れをしないから問題だと話しているのを聞いたよ。
T:これは大事な問題だ。
S:昔、火事の後で建物を建築するため木を切り過ぎて、洪水が起こったと聞いたことがあるよ。
S:だから、日本では昔から植林が行われていたんだ。
S:メソポタミア文明は上流の山の木を切ってしまった。だから、ノアの洪水が起こった。
S:地中海の文明は山の木がなくなると衰退している。
S:地球上の砂漠地帯は昔は木が生えていたんでしょ。だったら、砂漠に木を植えたらどうかな。

T:第8問【木は切った方が良いのか、切らない方が良いのか?】
S:地球温暖化の防止に役立っているから、木は切ってはいけないんじゃないの。
S:でも、間伐しないと山が荒れるって聞いたよ。
S:木で家を作り、また植林すればが、二酸化炭素はどんどん取り込めるよ。だから、切って植林すればいい。
S:去年の台風で、山の木が何本も倒れた。でも、倒れた木はそのままにしてあるよ。
S:木が倒れたのは、根っこがしっかりと張っていないからだとお父さんが言っていた。
S:最近、雨が降ると川の水がすぐに増えて、大水になりやすくなったっておじいちゃんが言っていたな。山の手入れをしていないからだって。山の木は、たくさん植えてあるのにどうしてだろう。
S:木がたくさん茂っていると、日が当たらないから下草が生えないんじゃない。
S:そういえば、裏山の杉の木の林の中は暗くって、下には何も生えてないな。
S:雨が降ると、土も一緒に流れていくよ。
S:そうすると、木を切って光を入れてやることが必要なんだ。それに、他の木も育つし。
S:間引きをするということか。
T:それが、間伐なんだ。
S:下草が生えれば、雨が降っても水がたまるし、土も流れない。川の浄化にも、大雨の保水にも役立つね。
S:それなら、どんどん間伐をやればいいのに。
T:でも、人手不足と人件費がないために間伐ができない。
S:それだと、山ばかりか川まで荒れる。洪水だって起きるよ。

6、山と川と田んぼの話

T:ここで、山と川と田んぼがつながる話をしよう。
この3つのものをつらぬく串が米と和算。

「古代より日本人は土木開発をしてきた。特に江戸時代日本各地に新田開発の用水開削を行ったのは「無名の天才」たちであった。その場合に必要なのが測量の技術である。彼らはそれをどのようにして学んだのか。それは和算である。特に塵劫記などの数学書はベストセラーになったほどであった。」(「日本の米」より)

T:和算は趣味の数学のように思われているけど、実用的な数学として広がっていた。関孝和も暦を作るために数学の研究をした。そして、何よりも測量から幾何学が発展する。
S:田んぼを作るための用水の開発に数学が使われていたということですね。
S:用水は上流の川から水を引くから、当然川の土木工事をしなければならない。
S:では、山はどうつながるの?
T:荒地を開墾するためには、水が必要だ。
S:でも、川もないところもあるよね。
T:そう。禿山だってあるんだ。そこに川を作るにはどうしたら良いのか。
S:山に木を植える。
T:そうなんだ。まさに「木を植える人」をやったんだ。しかも、何世代も何人もかかって。木が茂り草が生えた山には、小川ができる。湧き水もできる。そうやって川ができる。
S:川ができれば、田んぼができる。昔の人は、米を作るために木を植えたのか。
T:そうやって、山の文化が育ち、古墳を作る土木技術(測量技術)、川の改造、河口の干拓、条里制、平城京、平安京、太閤検地、江戸の町づくり、各地の用水、堰、新田開発、地租改正とつながっていく。日本は世界でも珍しく植林をする文化を持っている。それは、水を治めるためだ。そして、水を引くための用水を作り、田んぼを作る。
ところで、
第9問【水田と畑の決定的な違いは何だろう】

S:畑は連作できないけど、田んぼは連作ができます。
S:田んぼには水が大量に必要です。だから、用水が必要です。
S:排水だって必要だよ。
S:畑は、水平でなくてもできるけど、田んぼは水平でなくてはだめ。
S:水が漏れないようにしなければいけない。
S:畑にも灌漑が必要でしょ。でも、大量の水をまくと塩害がおきるって聞いたことがあるよ。
T:水が地下にある塩を溶かして、地上に浮き上がらせるんだね。
S:田んぼは、古い場合は千年以上も同じところで米を育ててきたんでしょ。これはすごいことではないかしら。
S:田んぼはダムにもなる。

第10問【大判小判の形は何をモデルに作られたのか?】

S:ひしゃげた楕円形で形もおかしいな。何だろう?
T:ヒントは、細かい横線と色ですよ。それから横にするとわかるかも。
S:そうか。これは米俵だ。実った稲は黄金だから米俵を表しているんだ。
S:江戸時代は米本位制だもんね。

参考文献「日本の米」富山和子著・中公新書 

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