%C12  【宇宙は無限か、有限か】

 『2乗に反比例する関数の利用』
   a
Y=---
   X2
なんとも奇妙な関数である。でも、この関数が宇宙を支配していると言ったらびっくりするだろう。万有引力の法則、電気におけるクーロンの法則などだ。
だから応用範囲も広い。例えばこの関数を宇宙にあてはめてみると、宇宙が有限か無限かわかる。質問するよ。宇宙は有限だと思う人?。
--有限:無限=1人:20人

夜空を眺めると、晴れた晩には星が見える。この星は遥かかなたの光が何万年もかかってやっとたどり着いたものなのだ。
前にやったように、光の強さは、距離の2乗に反比例する。だから、遠くの光ほど弱くなるわけだ。所で今度は、星の数を調べてみよう。星の数は、距離が2倍になれば面積では、密度が同じとすると、2乗倍になる。
--面積が2乗倍だから、数も2乗倍と言うことですね。

つまり、距離の2乗に比例しているわけだ。光の強さは2乗に反比例するわけだけれど、数が2乗に比例するわけだから、全体の光の強さは、結局同じということになる。ということは、夜空の全体の光の強さは、遠い近いではなく、星の数によって決まるということになる。pazurs.jpg (5757 バイト)
--?

この結果から、宇宙は無限か有限か考えてみよう。もし無限だとすると、星の数は?
--無限にある。

数が無限なら、明るさも無限となり、夜空は、さんぜんと光輝くことになる。
--でも、実際は明るくない。

したがって、宇宙は無限ではないことが証明される。
--でも、宇宙が有限だったら、その外はどうなっているんですか。

『宇宙の姿』

《このようなメールが届きました》  1999.5

 はじめまして。I.Tと言います。現在、高専2年をしてるものです。上村さんのHPのはまぐりの数学は色々な話題があって、とても面白いです。ただ、一つミスがありました。 【宇宙は無限か、有限か】というところは間違いです。

 この問題は物理ではオルバースのパラドックスの間違った解釈として知られています。どこが間違いかと言うと、

1.宇宙は誕生してから160億年程度。それに対して、宇宙の果てのほうの星ははるか遠く、光はまだ地球に届いていない。(今、地球に向かってる途中である。届くのはあと何十億年後くらい)

2.恒星のメカニズム上、そんなに長くは光ってられない。(遠くの光が届いた頃には、その星はない。また、今見えている星は全部、消滅している。)

3.ハッブルの観測により、宇宙は遠く離れているほど、密度はかなり小さくなる。(つまり、HPで言ってることが成り立たない。)

 以上より、宇宙は仮に無限であっても、無限の明るさにはならない。(無限であれば1.をもっと強めることになってしまうからね。) 

 宇宙論は実際、かなり複雑なことを考えなければならないので、簡単な考えと式から結論を出すことはかなり難しいです。(上で言ってることも、実験データがほとんど。)現に、量子論も実験データから導いてるようなものもありますしね。専門的な物理の話題ばっかでちょっと嫌な気持ちにさせてたらすいません。あと、上の説明の中でよくわからんっていうところがあれば突っ込んで下さい。できるだけ、詳しくレスするつもりです。

《さっそく返事を出しました》

 I.Tさん、こんにちは。HPを見てくださり、しかも貴重な指摘をしていただきありがとうございます。実は、この話は現在の宇宙論からいうとおかしなところがあることは分かっていました。従ってHPにのせたのは詳しく書いてありませんが、仮定がいくつかあります。

 まず、膨張していない宇宙で、限りない昔から星は光っていて、しかも密度は一定であるという宇宙です。そういう宇宙が無限だとすると矛盾があるという話です。

 さて、質問がいくつかあります。I.Tさんの指摘で、@この問題はオルバースのパラドックスそのものなのですか?それともそのパラドックスの解釈の1つなのでしょうか。

 もう一つ。昔から疑問に思っていたのですが、A宇宙が誕生してから160億年だとすると、120億光年の星雲というのは、宇宙が誕生してから40億年後の光という事になります。すると、たった40億年で宇宙は120億光年以上も広がったことになりますが、これは光速度を超える事になり相対性理論に矛盾しませんか?

《その返事です》

 簡単な宇宙モデルで考えたわけですね。たしかに、あの方程式を説明するためにはそれでもおもしろいですからね。ただ、宇宙はそれほど簡単にはいかないっていうのが辛いですが…。

(1)これは、オルバースのパラドックスのそのものです。多分、昔、この事についてどこかの物理学会(これがオルバースなのかな?)で論争になったのでしょう。

(2)これは、ちょっと宇宙の特殊性みたいなものが関係してくるんですね。宇宙は誕生して160億年程度と言ったのですが、宇宙の果ては480億光年程度ではないかと言われています。それはなぜかと言うと、宇宙空間の膨張に関係します。光の速度は真空中では常に一定です。しかし、宇宙空間自体が膨張するので他から見れば、光の速度×時間よりもっと距離があるようにみえる。(だいたい3倍くらいではないかと言われている)

 これをもっと簡単に易しく言うと、たとえば、僕が常に一定のペース:ここではわかりやすく10m/sとする。で100mを走ったとする。すると、僕は10秒でゴールする。しかし、地面がなぜか伸びていて、ゴール地点からスタート地点を見ると300mあった。そうすると、僕は10m/sで走っているのに、10秒間に300m進んでいる。っとまぁ、こういう事が宇宙空間ではおきているのですね。なので、上の結果を一見見ると、僕は30m/sで走っているようにみえて、人間的ではない、っと否定されそうですね。(オリンピックも楽勝ですね。)これは、光で言えば、光のスピードを超えたことに当たる。

っとまぁ、こんな説明でいいでしょうか?

 

『東海村臨界事故』

 東海村の臨界事故は、まだ、どれくらいの放射能がもれたのかわかっていない様です。その中で、朝日新聞が次のような記事を載せていました。

朝日新聞の記事から   「1999年10月7日夕刊」

「中性子追跡 金求め奔走   ◆350メートル避難は「不十分」 環境団体などが指摘

 茨城県東海村の民間ウラン加工施設で起こった臨界事故について、反原発団体の原子力資料情報室(東京)や環境保護団体のグリーンピース・インターナショナルは、事故時に放射された中性子線の強さを推定した。その結果、350メートル圏の避難要請では不十分で、実際の被ばく者は現在伝えられているよりも多い恐れがあること
がわかった。国などは、まだこうした線量推定を出していない。

 資料情報室は、国や県が公表したデータを使って、現場からの距離と中性子線量の関係を求めた。100メートルの地点では、臨界が続いている間の1時間当たりの中性子線量が4.5ミリシーベルト。350メートルでも同0.2ミリシーベルトあり、5時間で一般人の年間線量限度1ミリシーベルトを超える強さだった。500メートル離れてようやく1時間当たり0.04ミリシーベルトで、臨界の間ずっといても年間線量限度には達しないとの結果になった。

 一方、グリーンピースは、強い中性子線が、ふつうの物質を放射性物質に変えてしまう「放射化」に注目した。現場から175メートルの家にあった食塩を譲ってもらい、佐々木研一・立教大教授の協力を得て放射性のナトリウム24を分析したところ、1時間当たり1.6ミリシーベルトの中性子線を浴びたらしいことがわかったという。この値をもとにすると、350メートル地点での推定値は、資料情報室をさらに上回る同0.4ミリシーベルトになる。 」

 二乗に反比例する関数が中学校の数学から削除されて久しいのですが、ショッキングな形で出てきました。中性子は光と同じですから、放射状に発散されます。ですから、距離の二乗に反比例して強さは弱くなります。

 さて、記事ですが、100mで4.5ミリシーベルトと書いてあります。それで計算すると、350mでは100:350=χ:4.5で、χ=0.367ミリシーベルトになるはずなのです。記事では0.2ミリシーベルトになっています.そして、500mでは4.5÷25で0.18ミリシーベルトですが、記事では0.04ミリシーベルトです。
 グリーンピースの方は、175:350=χ:1.6となり、χ=0.4でちゃんと計算に合っています。 
 
 もし上の計算の方が正しいのなら、臨界状態は20時間続いたそうですから、500m地点で0.18×20で3.6ミリシーベルトとなり、年間線量限度をはるかに越えている事になります。

 ただ、原子核から飛び出した中性子は不安定で、崩壊して陽子と電子とニュートリノに分解するらしいですから、二乗に反比例するよりももっと減少率が大きいと思われます。
原子力資料情報室のデータは、それぞれのポイントで観測した値かもしれません。詳しくは原子力資料情報室のデータをご覧下さい。

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