月から地球を見るとどれくらいの大きさに見えるか?
― 太陽の見かけの大きさ ―
今年(2009年)7月22日に皆既日食が起きます。きっとダイヤモンドリングやコロナが見えることでしょう。もし、月と太陽の見かけの大きさが大きく違っていたら、太陽の表面を月が移動するだけだったり、月に太陽が完全に隠されて何時間も暗くなってしまうことでしょう。
「現在のように月と太陽の見かけの大きさがほとんど同じなのは偶然でしょうか、それとも必然でしょうか。」
1、月から地球を見るとどれくらいの大きさに見えるか?
T:見かけの大きさは、距離が同じならそのものの大きさに比例します。
S:直径が2倍になれば、見かけの大きさも2倍になるということですね。
T:では、距離が2倍になったら?
S:大きさは半分になります。
S:ということは、大きさが同じなら距離に反比例です。
T:まとめると、「見かけの大きさは、そのものの大きさに比例し距離に反比例する。」
とすると、地球と月の間の距離は同じだから、それぞれの大きさが見かけの大きさになります。月は地球の約4分の1だから、地球で見る月の大きさよりも月から見る地球の大きさは4倍に見えます。
S:月から見る太陽の大きさの4倍の大きさに見えるということですね。
S:最初の質問はどうなんですか?
S:大きさと距離の間に何か関係があるんじゃないかな。
S:じゃあ、他の惑星に行って見たらどうだろう。木星でも衛星と太陽の大きさが同じになるんだろうか?
S:木星だと太陽はかなり小さいよ。木星の月の方が大きく見えるよ。
S:ということは、地球の場合は偶然だということですね。
S:そのおかげで、ダイヤモンドリングやコロナが見えるわけだからすごいことですね。
S:太陽の見かけの大きさは惑星によってどう違うんですか?
T:面白そうだから調べてみましょう。
2、他の惑星から太陽を見るとどれくらいの大きさに見える?
(1)基本データ
太陽の大きさ=地球×109
太陽からの距離 太陽の見かけの大きさ
(地球を1とした) (距離の逆数)
水星 0.39 1/0.39=2.56
金星 0.72 1.38
地球 1 1
火星 1.52 0.6578
木星 5.2 0.19
土星 9.55 0.1047
右の写真は1mものさしを使って、けん玉を置いたものです。
見かけの大きさを計算で求めるには、距離に反比例するのだから、
それぞれ逆数を求めると、それぞれの惑星から見た太陽の大きさがわかります。
さらに光の強さは見かけの大きさの2乗に比例します。
(2)水星、金星、火星、木星、土星から太陽を見る
地球から見た大きさと比べてみよう。
3、105円地球儀の使い方
(1)地球儀は4個買う
100円ショップへ行くと、中国製の直径10cmの地球儀を売っています。
4個買います。それは春夏秋冬用のためです。
地球は台から簡単にはずすことができ、球として扱えます。
(2)夜の部分を作る
懐中電灯を当てても、影は明確にできません。月の形が変わることを示す時に半分を黒く塗りました。こうすると三日月になることが良くわかります。
でも、地球儀に塗るにはもったいない。
そこで、影の部分を作ります。球面にあわせるために、舟形多円錐を切ります。【舟形多円錐の型紙】
直径は10cmなので円周を10πcmにします。半周なので5πcmにします。
半透明で柔らかいファイル用のシートを買ってきて、紙型を張り、はさみで切って、セロテープで地球儀に重ねながらつなぎます。
(3)夏至と冬至
夏至や冬至の時は傾きます。そこで、北極と南極の部分に切り込みを入れます。そして取れないように、幅1cmほどの透明なシートを張ります。そこに太陽を描きます(教材の最後の方)。
問題「右の写真でどれが春夏秋冬だろうか?」
この様に夜の部分を作った地球儀を手で動かしていると、いろいろなことに気がつきます。
夏至の時には、夜明けは北海道と沖縄ではかなりの時差があることがわかります。
逆に冬至の時はほとんど同じ時刻に夜が明けます。夜は逆になります。
目次へもどる