サッカーのゴールの網目は、なぜ六角形になったのだろう

T:サッカーのゴールのネットは、以前は正方形だった。何時から六角形になったのだろう。

S:最近のような気がするな。
T:では正方形のネットと六角形のネットの違いは何だろう。
S:六角形の方がゴールしたボールがきれいに見えるな。
T:きれいというのはどういうこと?
S:ゴールしたボールが六角形だと突き刺さるように伸びていくよ。
S:正方形だと伸びないけど、六角形だと伸びるんじゃない。
T:本当かな?

T:このことを、正四角形のネットと正六角形のネットを実際に作って、比べてみよう。

六角形             正四角形
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S:これを比べると、どちらも対角線が伸びるよ。
T:その伸びる割合を出してみようよ。
S:四角形の対角線は2本。延び方は、/と\方向は、√2→2  つまり、1.414倍。
                   ←→↑↓方向は、1→1 つまり、1倍。
S:六角形の対角線は3本。伸び方は、←→と/と\方向は、3→4  つまり、4/3=1.333倍。
                   ↑↓と\/方向は、2→√3 つまり、1.155倍。
S:一方向へ伸びるだけなら正方形の対角線が一番多いよ。
S:でも、六角形の方は伸びる方向の自由が大きいな。
S:しかも、六角形はどの方向で固定しても伸びるけど、四角形は縦横は伸びない。
S:ということは、六角形はボールが当たった後の伸びる方向がネットに影響されない。
S:でも、どちらもピンと張るとだめだよ。横も縦もユルユルにしておかないと。

S:では、どうして最初から六角形のネットにしなかったのだろう。
S:作り方が難しかったんじゃない。
S:そういえば、四角形の方は紐が1本でも作ることができるよ。(写真)
T:一筆書きは、点から出ている線が奇数の場合、それはスタートかゴールしかない(オイラーの定理)。だから、四角形の場合は全て偶数だから一筆書きができることになる。
S:つまり、1本の紐でできるということだね。
S:この網を見ると、1本ではなく何本も使っているような気がするな。
T:実際に編んでいく時は、何本も使うんだろうね。

T:ところが、六角形の方は一筆書きができない。
S:どうして?
S:だって、全部の交点から3本の線が出ているじゃない。
S:ということは、こちらの方が作り方が難しいということかなあ。
T:実際に作ってみよう。
S:どうやって作るの?
T:ストローと紐を使って作ってみよう。
S:これなら簡単に作れるね。
S:でも、2回紐が通るストローがあるね。
S:こちらのほうが難しいな。
S:紐を二回巻くのかな。
T:針金のネットの場合は、2回紐が通るストローの所を、二重巻きにしているね。
S:サッカーのネットはどうやって作っているんだろう。

T:さて、こうやって作ったネットを引っ張ると…。

参考→エッシャーの絵(蜂の巣はなぜ六角形か)
S:これを見ていて気がついたけど、同じ面積だと正方形よりも六角形の方が紐の長さが少なくてすむよ。
S:つまり、四角形よりも六角形の方が見やすいということだね。
S:しかも、紐の面積が少ないから風も通りやすいね。

リンク→【Exciting Goal! 〜Why Hexagon?】岐阜大学工学部の藤井教授らの研究グループが作成したCG


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