ハノイの塔で算数を克服しよう

算数が苦手なんです

1,「うちの子たち算数が苦手なんです。寺子屋で算数を教えてください」とお母さん。

爺:算数苦手なの? どういう所が?
孫:計算をしていると何をやっているのかわからなくなるの。だから消して初めからやり直すの。
 それに文章題の意味がわからない。
爺:いいぞ。わからないところがちゃんと分かっている。
 ところで、『わからない』の反対は『わかる』だろ。『わかる』ってどういうことかわかる?
孫:えっ、わかんない。出来た時かな。『そういうことか』って感じることかな。
爺:いいねえ。じゃあ実際にやってみようか。これは『ハノイの塔』というパズルだよ。

孫:上にある円盤を別の場所に動かせばいいの?
爺:そうだよ。
孫:どっちでもいいんだね。

孫:一個ずつ動かすんだね。自分よりも小さな円盤には乗せてはいけないんだね。
 (すぐにやり始める
爺:すごいね。聞いただけではわからないから実際にやってみる。とても大事なことだよ。
孫:こんなにたくさんだと難しそうだから、・・・まず1枚だと・・・1回。簡単。
 次に2枚だと・・・3回で移る。3枚だと・・・
爺:素晴らしいね。複雑そうな問題でもそうやって簡単にして考えるとわかってくる。
孫:だって、数が多い時は少ない場合から順番に考えるとわかる。
爺:そうだよ。『わかる』ためには『自分がわかるようにすること』が第一歩なんだ。
孫:単純(簡単)にすればいいんだね。
爺:そう。算数は『簡単に考えるためのトレーニング』なんだよ。
孫:3枚や4枚は難しいな・・・一番少ない回数が何回なのかわからなくなる。
爺:そういう時は、ちゃんとメモを取っておくといいよ。
孫:1枚…1回、2枚…3回、3枚…7回、4枚…
爺:そうそう。そうやって表にするともっとわかり易くなるね。
孫:何か法則がありそう。

2,「まちがえることを恐れない」

爺:ちょっとまとめるよ。まずやってみることが大事なんだね。
 これを試行錯誤という。
 でも、ただやるだけではだめで、「これはダメだな」と感じることが大事。
孫:試行錯誤ってどういう意味?
爺:試行錯誤とは「新しい物事をする際、試みと失敗を繰り返しながら次第に見通しを立て、解決策を見いだしていくこと
 つまり失敗を繰り返すことだよ。
孫:失敗してもいいの?
爺:そうだよね。つい失敗はだめだと感じてしまい成功だけを追求してしまう。
孫:私も計算間違いはだめだと思ってすぐに消してしまう。
爺:実は失敗の方が大事で、間違いだからと簡単に消してしまってはもったいない
 「計算をしていると分からなくなる」のは当然のこと。
 で、問題は何が間違いかわかるコト。
 例えば、こう移動させるしかないけど、この次に動かせるのは一つしかない。

孫:こうなると左下の円盤しか動かせない。そして、左下の円盤を動かすには二つの位置がある。

孫:こうすると次に動かせるのがなくなるからだめ。
爺:そうだよ。このだめを知ることの方が大事なんだ!
孫:とすると、ここしか動かせない。三回で移動できた。

孫:私は今まで計算をしていて、わけがわからなくなって、それまでの計算を消しゴムで消してしまっていた。
 これからは消さないで丁寧に計算しよう。

3,「つぶやきながらやる」

爺:先生に「わからないことがあったら聞いてね」と言われるけど、「何がわからないのかわからない」という経験はない?
孫:そうなんだ。何がわからないかわからない。
爺:わからないところがわかったらわかったも同然だからね。
 だから何がわからないかを捜すトレーニングが大事になる。
孫:どんなトレーニングなの?
爺:実は簡単なんだ。それは「つぶやきながら」やること。
 失敗やつまづいた時もちゃんとつぶやく。
孫:テストの時につぶやくと先生にしかられるよ。
爺:心の中でつぶやくんだ。実はもうさっきからやっているよ。
孫:つぶやくってこういうこと?
 (以下つぶやき)
 上の写真の後は、次の円盤を左下に移動する。

 で、この後はどうしたら良いんだろう?
 こっち(右下)のタワーをここ(左下)に移動させればいいんだ。
 でも、一個ずつだから・・・

 これだとだめだ。上下が逆になる。
 とするとこっちか。(上に移動)

 なるほどな。これだと順番に出来る。
 やらなくてもわかってくる。

 上の小さい円盤をのせると、やった。ちゃんと積めた。
 ところで、何回動かしたっけ? こんどは数えながらやってみよう。

 次は4枚目だ。
爺:いいね。あわてないでゆっくりとつぶやくのがコツ。
孫:つぶやきって自分自身と話(対話)をしているんだね。
爺:すごいことに気がついたね。
孫:爺ちゃんだったら「まとめてみよう」と言うと思う。
 枚数:1  2  3  4  5  6・・・
 回数:1  3  7 15 31 
 なにか法則がありそう。

◎参考文献(理論的うらづけ)
発問とシンキング・スキル】・・・「内言」から「発問」の意味を問う (2010.12)
「問い」と「発問」と「問題」はどう違うの? 】・・・問いを自分のものにする (2012.7)
フィードバックするBBからオートポイエーシスへ】・・・動物と機械をわけるもの (2023.4)


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