三角形のチェバ円共役点

重心と外心の関係を探ると共役点があらわれる

(1)「重心と外心の関係」と同じような二つの点

T:前に外心と垂心の関係を探ったね。
S:この二つの心から9点円ができるんでしたね。⇒ 【外心と垂心
S:もう一つあったよ。この二つの心は等角共役点だった。⇒ 【等角共役点
T:そうでしたね。じゃあ、今度は外心と重心の関係を考えてみましょう。
S:頂点からスタートして重心を通り、対辺で垂直に反射すると外心になっている。

S:こういう点の関係は他にもあるの?
T:ふつうは対辺で垂直に反射すると3線が一点で交わるとは限らない。だから実際に調べてみないとわからないな。
S:どうやって調べたらいいの?
T:三角形の心についてそれぞれの3本の垂線が一点で交わるかどうか作図して調べるんだ。
S:いちいち作図するなんて大変だよ。
T:GeoGebraを使えば大丈夫。 ⇒ 【三角形の心

(2)「重心と外心の関係」と同じような関係の点を探す

S:つまり、三角形の心へ各辺から線を引き、その線と対辺の交点から垂線を引いたものを作図すればいい。
S:この3本の垂線(ピンクの線)が一点で交われば重外関係のペアがわかる。
S:inが心Xnを示しているんだね。Dが重心(X2)のとき、3本の垂線は一点(外心)で交わっている。

S:X4の時は自分自身と一致する。垂心だから当たり前か。
S:根気がいるけどわくわくするね。・・・見つけた!

 @中点からの垂線と中点と頂点を結んだ線がO(X3)とG(X2
 Aナーゲル点(X8)とベバン点(X40
 Bジェルゴンヌ点(X7)と内心(X1
 C垂心と垂心(X4
 Dべバン点の等角共役点V'(X84)の足の垂線が作る点W(X189
  ・・・
S:たくさん見つかってきたぞ。
S:どういう条件の時、「重心と外心の関係」になっているんだろうか?
S:重心から外心は成立するけど、逆が成立するとは限らない。内心だけだ。
S:まだ何かありそう! 整理してみるね。

 (重心点) (外心点)     (外心点) (重心点)
 G(X2)→ O(X3)   ――― H(X4)← H(X4)
 Na(X8)→(X40)  ――― (X84) ←(X189)
 (X69) →(X20)  ――― (X64) ←(X253)
 Ge(X7)→I(X1)  ――― I(X1) ← Ge(X7)
 (X20) →(X1498) ――― (X3346)←(?)

S:もしかしたら左の外心点と右の外心点は等角共役点ではない?
S:外心と垂心は等角共役点だったよ。内心は内心だ。べバン点(X40)と(X84)も等角共役点だ。
S:「等角共役点」とこの「重心外心関係」はつながっている。
 つまり、
 仮説「等角共役点の一方が外心点ならば、もう一つの共役点も外心点である」がいえるんじゃない。
T:よし、この仮説が正しいかどうか証明してみよう。

(3)チェバ円共役点

S:ところで、前から気になっていたけど、等角共役点は垂足円で求めることができたよね。⇒ 【垂足円
S:ある点から辺への垂線の足からできる円は、もう一つの等角共役点を指し示している。
S:とすると、ある点から頂点への線(チェバ線)からできる円も考えられるんじゃない。
S:そうか、その円のもう一つの交点と頂点を結ぶとどうなるんだろう?
S:作図して調べてみよう。まず円を描いて、次に辺との交点を見つけて、その点と頂点を結ぶと・・・

S:ピッタリ一点で交わっている。
S:必ず一点で交わるんだろうか?
T:比を使えば簡単に証明できます。
S:そうか、チェバの定理が成り立つことを示せばいいんだ。
⇒ チェバ円と三角形のもう一つの交点へのチェバ線が一点で交わることの証明

S:なるほど。ということはこれも三角形の共役点の仲間に入れても良いということですね。
T:そうです。アメリカのサイトで調べると「Cyclocevian Congugates」と書いてあったので、「チェバ円共役点」としました。
S:これで三角形の共役点が3種類見つかった。等角共役点と等距離共役点とチェバ円共役点だ。⇒ 【三角形の共役点

(4)「等角共役点の一方が外心点ならば、もう一つの共役点も外心点である」の証明

S:この仮説は、垂線とチェバ線(頂点と点を結んだ線)を結び付けたものだから・・・。
S:ある点のチェバ線の足から垂線を立てたとき、その垂線は一点で交わるの?
S:一点で交わるとは限らない。
S:では、どういうときに一点で交わるのだろうか?
T:垂線が一点で交わる条件は「垂線の定理」⇒ 【垂線が一点に会する条件 GeoGebra
S:もう一つ、チェバ線が一点で交わる条件も必要だよ。
 これは「チェバの定理」⇒ 【チェバの定理 - Worksheet (geogebra.org)

S:この二つの定理を用いれば、「重心と外心の関係」が成り立つ点を求めることができる。
S:まずADを決めてBGとCEを未知数とすると、二つの関係から二元連立方程式ができるので、BGを消去すると二次方程式になり、CEを求めることができる。


 計算は大変だけど、式さえわかればGeoGebraで正確に計算できるはず。
 この計算結果を基にCEをとって作図すると・・・。なんだかワクワクするな。できた!
S:ピッタリだ!

S:Dを決めると、垂線からHが求まる。そしてチェバ線も一点Fで交わる。
S:この3点から垂足円を作図すると等角共役点Rが求まる。
S:つまり、この垂足円は条件から同時にチェバ円でもあり、したがってチェバ円共役点Sが求まる。
S:ということは、Fのチェバ共役点Sが存在するので、「一方が重心・外心関係にあれば、その外心点の等角共役点も重心・外心関係になっている
S:チェバ円から言うと、「ある点が重心・外心関係にあれば、その重心点のチェバ円共役点も重心・外心関係にある」
S:すっきりした。

S:ところで、この4点は一直線上に並び、この直線は垂足円(チェバ円)の直径となっているような気がする。
⇒ 【三角形の重心・外心関係


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