ピタゴラス数
バビロニアの数学
1、粘土板の楔形文字
T:これは3800年前の古代バビロニアの遺跡から発見された粘土版。
S:長方形や直角三角形が描かれているね。これは数学の教科書なの?
T:この板の裏には土地の面積や契約に関することが書いてあった。土地を売り買いしていたということだね。
S:ということは実際の土地の縮図なんですね。
S:そういえば長方形を正確に作るには直角が必要だ。当時も直角三角形の定規があったんだ。
S:でもさ、粘土板に書くときは小さな定規でいいけど地面で大きな面積を図るときはどうするんだろう?⇒【エジプトひも】
S:この上の右側の直角三角形を調べてみよう。大体だけど10o:24o:26oになっている。
S:5:12:13の比の定規だ。
T:この数の間にはどういう関係があるか知っているね?
S:もちろん。52+122=132。ピタゴラスの定理です。
T:そして、こういう3組の整数をピタゴラス数と言います。 ⇒【ピタゴラス数の作る三角形が直角三角形になることの確かめ】
S:5、12、13の組み合わせをどうやって見つけたんだろう?
2、ピタゴラス数の見つけ方
T:ここからは想像だけど、二乗(平方数)ということは正方形の面積ですよね。
だから昔の人々は平方数を四角数と言って形で表現していました。
例えば小石を正方形に並べていくと・・・
この図のようになります。n=1から始めてみてください。
S:面白いことに気がついたよ。水色の石が平方数だったら簡単にピタゴラス数がわかる。
S:えっ?詳しく教えてよ。
S:例えば、n=5の時、水色の小石の数は9個だ。つまり、32。
S:そうか!青色の小石の数は42だから、それに32を足すと52になる。3:4:5が見つかる。
S:えーと、水色の小石の数を並べると・・・
n=1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17・・・
水色=1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33・・・
水色の石の数は奇数だ。これが平方数になるのは、9と25と49・・・だ。
S:次の25の時は13だから、52+122=132が見つかる。
S:これを使えばどんどんピタゴラス数が見つかるね。
S:49の時は25だから、72+242=252だ。
・・・
S:でもこれだと隣り合う数だけだね。離れた数はどうやって見つければいいのだろうか?
S:水色の小石の数を見ていて気がついたけど、これは奇数でしょう。奇数と奇数を足せば偶数になるから偶数の平方数も求められるんじゃない。
S:そうか、水色の小石を二重にして数えるんだね。
S:確かに17+19=36、31+33=64となっている。後の方を調べてみよう。82+152=172
S:ついでに表にしてみよう。⇒【直角三角形の斜辺のピタゴラス数】
T:素晴らしいね。ところで、粘土板を調べてみると、119:120:169や12709:13500:18541などというピタゴラス数も書いてある。
これはどうやって見つけたのだろうか?
3、式による求め方
S:平方数になれば良いんだから、そうだ、平方公式(m+n)2=m2+2mn+n2を使う。
S:2mnは平方数にはならないよ。
S:だったら最初から二乗にしておけばいい。(m2+n2)2=(m2)2+2m2n2+(n2)2・・・@
S:もうちょっとだ。2は平方数じゃない。4なら良いけど。
S:じゃあ(m2−n2)2=(m2)2−2m2n2+(n2)2・・・Aを考える。
これを結び付ける等式ができないかな。
S:Aに4m2n2を加えると@になる。
(m2−n2)2+(2mn)2=(m2+n2)2だ。できた!
S:確かめてみよう。m=12,n=5とすると・・・
S:この計算で全てのピタゴラス数が求まるのかな?
S:こうやって計算でピタゴラス数を求めることは分かったけど、三つの数の組だとわかりにくいな。
S:そうだよね。さっきやったように二つの平方数を合計した数に注目したらどうだろう。
S:つまり直角三角形の斜辺の数に注目するんだね。その数はどんな数になるのだろうか?
S:それにさっきの「グノモン」の方法で求めたのと同じになるか興味があるね。
S:表にするとわかりやすいと思う。GeoGebraでどうやって表にしたらいいかな。やってみよう。
【ピタゴラス数の分布】からフェルマーの「直角三角形の基本定理」(フェルマーの「二平方定理」)へ
【バビロニア数学】
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