「割り算」から無限大数へ

1,いろいろな割り算

T:こんな割り算を考えてみました。最初は、0.1を2進法で表す割り算です。

0.1=1÷10=1÷1010
[2]=0.0001100110011…[2]  2進法の計算はわかるね。

            0.00011001…      1+1=10だよ。
          1010)1.0000
              1010
              1100
              1010
               10000
            
S:0.1は2進法で表すと無限小数になるんだね。
T:この無限小数の考え方を使うとこんな計算もできるよ。

1/3+(1/3)^2+(1/3)^3+…=0.1111…
[3]  ([3]これは「3進法で」という意味)
0.2222…
[3]=1だから、0.2222…=2×0.1111…[3]
よって、1/3+(1/3)
2+(1/3)3+…=0.1111…[3]=1/2

S:1/4でも同じことがいえるね。1/4+(1/4)2+(1/4)3+…=1/3 になる。

T:次は10進法でも無限小数になる割り算です。

1÷9=0.1111…   0.111…    9÷9=0.9999…    0.999…   
        9)1.000              9)9.0
           9                 8 1
          10                 90
           9                 81
           1                 9

S:左の計算はわかるけど、右の計算は9÷9=1で割り切れるじゃない。
T:人生はそう簡単には割り切れないのさ。
S:0.9999…=1ということだね。


2,一桁目から割っていく割り算

T:割り算の筆算は、普通桁の大きい方から行います。これを桁の小さい方から行ったらどうなるのでしょうか。

     2.5 →  2.5      021      056
   2)5.0    5.0(2     147(7     392(7
    4     1 0       7      42
    1 0    4       14      35
    1 0    4       14      35
     0    0       0       0

S:一桁目がそろうようにするというルールで計算すればいいんだな。

T:では、この場合はどうなるかな?

1÷9=0.1111…     0.111…    …8889
          9)1.000        1(9
            9        81
            10     …9992   (無限から繰り下がって、0-8=…9992 となる。)
             9       72
             1     …9992
                    72
                
S:この場合はできないね。無限に続いてしまう。
T:ここで想像力を働かせるんだ。さっきの9÷9=0.999…がいえるのだから、こういう数も認めてしまうとどうなるだろう。
S:ということは、0.111…=…8889なの?
T:そうですよ。こういう割り算を認めると、今まで知らなかった新しい数が出てくるんだ。実際に…8889×9を計算してみて。
S:本当だ。…0001になるよ。
T:「無限大数」で、…8888=−8/9だったから、これに1をたすと1/9になるからね。

T:でも問題点があるんだ。1÷8=0.125はどんな計算になる?

  A  .25      B 6.375      C 8.875    D 0.125
    1.00(8       1.000(8       1.000(8     1.000(8
     40         40         40       40
     6         96         96       96
    16         56         56       16
  …999 できない!    4          4        8
              24         64        8
            …998        …994        0
             48         64         できた!
           …9995 できない!  …993 できない!

S:8の倍数で一桁目が9や5や3はないからだね。
S:このやり方だと割り算ができるかできないかは、やってみないとわからないわけだ。


3,2桁の数で割る

522÷18をやってみよう。8の段で一桁目が2になるのは4と9だから、

     4       029
    522(18     522(18
     72       162
    55       36      
  できない!     36     
            0     

S:2桁でもできますね。


4,割り切れない場合

T:1÷7=0.1428571428…です。これはどうなるだろうか。

   …0000.5       …42857143.
   …0001.0(2         …001(7
       1 0           21 
      0          …998
                   28
    …333.5         …997
      1.0(6          7
       3 0        …999
    …998           49
      18        …995
   …998           35
     18        …996
   …998           56
              …994
     
S:3と7と9の段は、一の位に0〜9までの全ての数が出てくるから計算できるんだな。
T:2÷7や3÷7もやってみて。面白いことが見つかるかも知れないよ。
S:割り算って案外と面白いかも。
S:割り切れるってどういうことだろう?


5,文字式の割り算 1÷(1−χ)=?

T:文字式の割り算もできるよ。この割り算をやってみよう。

      1+χ+χ23+…
   1-χ)1
      1-χ
       χ
       χ-χ2
        χ2
        χ23
          χ3

S:χ=10を代入すると、 1+χ+χ23+…=…1111=1/(1-χ)=−1/9 となるよ。

T:次は1÷(1−χ)2 を計算してみよう。
S:1÷(1-2χ+χ2)を計算するということなの?
T:やってみて。

        1+2x+3x2+4x3+…
    1-2x+x2)1     
        1-2x+ x2
         2x- x2
         2x-4x2+2x3
          3x2-2x3
          3x2-6x3+3x4
            4x3-3x4

S:ということは、χ=10とすると、1/81=…7654320987654321 ということなのか。
T:χに7を入れると「7進数」になるよ。


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