方程式の対称性

ベキ根をとる意味

このポイントが一番大事であり、ガロア理論の核心です。
私自身もこのことが長いことわかりませんでした。
一番簡単な二次方程式で説明します。
    (α−β)2=α2−2αβ+β2
       =α2+2αβ+β2−4αβ
       =(α+β)2−4(αβ)
       =a2−4b・・・(3)
において、α−βは対称式ではないのに2乗すると対称式になってしまいます。
対称式になったということは係数で表せるということです。
そして、ルート(根号)をとってα−βにすると
   α−β=±√{a2−4b}
と、左辺は対称式ではないのに係数で表すことができます。
この場合√をとるという操作はどういう意味を持っているのか。
左辺は元に戻ったのに右辺は係数で表されているのはなぜか。
この違いを群と対比させてガロアは考えたのです。
対称式で係数に置き換えられるということは、根を置き換えても良いということです。
逆に、√をとると根を置き換えると符号が変わってしまいます。
つまり、根の置換における対称性は減ると考えたのです。
ではその対称性はどのように減っているのか。
「それは根の置換群を調べるとわかる」というように考えたのです。

このことは、三次方程式だとより鮮明になります。
 T2−(R1+R2)T+R1・R2=0
対称式を作るとこの二次方程式ができるので、解の公式にあてはめると、
 T=[−(2a3+9ab−27c)±√{(2a3+9ab−27c)2−4(a2−3b)3}]/2
このとき、√をとっているので、先の二次方程式の様に対称性が減ります。
それを根の置換でみると、
 (αβγ):α+βω+γω2=α+βω+γω2=L2
 (βγα):β+γω+αω2=αω2+β+γω
 (γαβ):γ+αω+βω2=αω+βω2+γ (これらが偶置換)
の偶置換では成り立っていますが、奇置換では(R2−R1)となって符号が変わり成り立っていない、ということなのです。
そして、三乗根をとると、対称性はなくなりますが根が見つかるのです。


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