人口問題を調べてみよう
(1) 今現在、この地球上にどれくらいの人が住んでいると思いますか?
(予想) 一億人、十億人、五十億人、百億人
インターネットで調べてみましょう。
予想と比べて結果はどうでしたか?感想を書いてください。
( )
さらに他のサイトも見てみましょう。
【国連人口基金】
The Day of 6 Billions (60億人になる日)
「1999年10月12日に60億人を超えた!」これを書いたのが13年前。
これらのサイトを見て、どんなことがわかりましたか?
( )
(2) 地球の人口は、1999年7月19日に60億人になりました。
では60億人の半分の30億人だったのは、何年前だったでしょう?
予想をたててから調べましょう。( )年前。
60億の2倍の120億人になるのは、何年後でしょう?
これも予想をたててから調べましょう。 ( )年後。
年 | 人口 |
1960 | 3009556564 |
1965 | 3288043631 |
1970 | 3592300291 |
1975 | 3924711114 |
1980 | 4287881324 |
1985 | 4684657217 |
1990 | 5118148472 |
1995 | 5591752515 |
1999 | 6002000000 |
2000 | 6109181155 |
2005 | 6674489667 |
2010 | 7292108580 |
2015 | 7966878398 |
2020 | 8704087536 |
2025 | 9509513771 |
2030 | 10389469520 |
2035 | 11350851317 |
2038 | 11969871053 |
2039 | 12183623903 |
2040 | 12401193860 |
この予想のわけも考えて下さい。
( )
【確かめ】 右の表は、人口増加率を0.0177として求めた予測値です。このように人口増加率が一定ならば、2倍になるのは同じ年数です。実際は人口増加率が変化します。
30億人だったのは( )年で、今から( )年前。
120億人になるのは( )年で、今から( )年後。
他のサイトでも確かめてみよう。人口増加率をどう決めるかで違ってきます。
【世界人口時計】 http://metalab.unc.edu/lunarbin/worldpop lunar@sunsite.unc.edu氏による。
(3) 世界の人口は、1日に何人ずつ増えているのでしょうか?
今年の人口の変化を調べて計算してみましょう。
わかったことを書きましょう。
1ヶ月に( )人増えている。
1日に ( )人
1時間に( )人
1分間に( )人
(4) 最近、トルコや台湾で地震が起きてたくさんの人が亡くなっています。
(両方とも1万人以上の死者)
一方、世界には栄養失調やありふれた病気で死ぬ子どもが、
毎日( )人います。
何人ぐらいだと思いますか?
予防接種などで防げる病気で命を失っています。 』
と書いてあります。では、この1200万人とはどんな数なのでしょうか。実感できますか?
まず、一日あたりの人数を計算してみましょう。
( )
次に、一時間あたりの人数を計算してみましょう。
( )
続いて、一分あたりの人数は?
( )
この計算によって1200万人が実感できましたか? 最初にある「国連人口基金」のカウンターは増加していますが、その裏には、これだけの数の子どもたちが亡くなっているのです。
これらの子どもの多くは発展途上国に住んでいます。
では、人口が増えている国はどこでしょうか?
(予想)
中央アジアの国、東アジア、南アジア、中近東、北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア
調べよう! 【国連 The Facts】 【Online Access】
発展途上国では飢えやなんでもない病気で亡くなる子が多いのに、なぜ人口が増加するのでしょうか?あなたの考えを書いてみましょう。
( )
(5) この地球上に50億人目の赤ちゃんが生まれたのは、1987年7月11日午前8時35分でした。この時刻はどうやってわかったのでしょうか?
予想をしていろいろな意見を出してみましょう。
( )
(6) 地球に住む人類が60億人に達するまでの増え方を調べてみましょう。
まず、グラフに表すとどうなるか予想してみましょう。
(予想) ( )だと思う。 【グラフ1】
この資料は紀元前からの世界人口の推計のデータです。
この資料をもとにグラフをエクセルで作りましょう。
これを見てどんなことがわかるでしょうか?
( )
(7) 人口は、なぜこの様な増え方をするのでしょうか?
人口は増加率が一定だとすると、その時の人口に比例して増えていくことになります。
つまり、人口は貝と同じように成長するということになります。
そして、この増加率が一定の関数を指数関数と言います。(y=a^χ)
《増加率一定の増え方をする関数=指数関数》
この関数には面白い性質があります。増加率が一定ならば、同じ年数で2倍になります。
例えば、増加率が年1.9%ならば、36年で2倍になります。最初30億人なら、36年で60億になり、次の36年で120億になります。始めのうちは2倍といってもそんなに増えないのですが、何回か繰り返すうちにとてつもなく増える関数です。
では、世界の人口増加率を調べてみましょう。
1962・3年をピークに増加率が少しずつ減ってきています。
この為、少し増加のペースが落ちてきています。
(8) 人口と同じように増えるものを見つけましょう。
増加率が一定の増え方をするものが、他にもあります。
これらは指数関数になり、爆発的に増加します。
予想してみましょう。
( )
【エネルギーの消費量】中部工大隅田研究室
【日本の借金】財政赤字問題
すざましい勢いで利子が増えていっていますね。
【日本の国家予算】
【ごみ】
【核分裂】
【インフレ】
(9) 人口やエネルギー消費がこの様に増えると、どんな問題が起こってくるでしょうか?
様々な問題について予想してみましょう。
それをみんなで出し合って、まとめてみましょう。
【食糧問題】( )
【環境問題】( )
【南北問題】( )
【資源問題】( )
【エネルギー問題】中部工大隅田研究室(迫り来るエネルギー危機)
【中国の人口問題】東福圭介さんのホームページ
(10) 限りある地球環境資源を守るために世界人口会議が開かれました。
そこで先進国は提案しました。
「子どもが多いから貧しくなる。発展途上国は出生率を5〜10%引き下げるべきだ。」
それに対して発展途上国は、
「経済を発展させるためには資源開発や人口の増加は必要。それよりも、先進国が資源を消費している事こそが問題。」
実際に先進国は、資源の1人あたりの消費が発展途上国よりも多い。
1993年の第1次エネルギー消費量は、一人あたりにすると、石油に換算してアメリカ人は年間7.5トン。日本人が3.3トン。中国人は0.6トン。インド人は0.24トン。
さて、皆さんはこの問題をどう解決するのでしょうか?
クラスのみんなとディベートをしてみましょう。
発展途上国 VS 先進国
(11) 世界の人口はこのまま、無制限に増えつづけるのでしょうか。
人口増加のモデル
(T)マルサスのモデル
有名なマルサスの『人口論』には、
A、人口は幾何数列的に増える。 【グラフ@】のB
B、食料は算術数列的に増える。 【グラフ@】の@
という言葉が書いてあります。
これを数学的に表現すると、人口増加率が一定で、環境が無制限ならばという仮定付きで、それは指数関数になります。
それは、Fで説明しましたが、数学的に導けます。
でも、地球の環境は制限がありますし、人口増加率は一定ではありません。つまり、人口の増加の関数はY=K・e^(a・x)にはならないということです。(近似的には言えますが。)そこで、なんとか人口増加の法則を見つけようとして、いろいろな試みがなされました。
(U)ロジステックモデル
人口増加のモデルは難しいので、生物の増加をモデルにして考え出されたモデルがあります。それが、ロジステックモデルです。生物は無制限に増え続けるわけではありません。それは、環境が限られているからです。そこで、増加には上限があるという仮定を設定して、微分方程式を解くとロジステック関数が出てきます。その解き方は、『カオスとフラクタル』山口昌哉著に詳しく書いてあります。
以前、蚕の成長を記録したことがあります。蚕の成長を長さで表わしてグラフにすると次の様になりました。これがロジステック関数です。
生物の成長や個体数の増加は、ある程度このモデルで説明できるようです。
ただし、人口がこうなるとは言えません。それは、人口増加率が変化しているからです。さらに、もっとちがったモデルが考えられ、それはカオスと結びついていきます。
(12) 【人口問題】や【環境問題】についてもっと知りたい人のために
広島大学総合科学部地球資源論研究室【地球環境学のページ】へリンク
日本の人口はどのように変わってきたのでしょうか。
(13、ありの巣から奈良時代の人口まで)
アジアの人口はどうなっているのでしょうか。
?
参考文献 『100億人の地球』西内正彦著、『なぜ世界の半分が飢えるのか』スーザン・ジョージ著、『数学の秘かな愉しみ』K.C.コール著、『地球は今・・・爆発する人口』高木善之監修・EIKOH出版、『数学は世界を解明できるか』丹羽敏雄著、『カオスとフラクタル』山口昌哉著