aporo.jpg (8834 バイト)30年前に月に立った人類は、
なぜその後、月へは行けない(かない)のか?

 プリンストン大学の宇宙物理学の教授であるJ・リチャード・ゴットV世は、1969年にベルリンの壁の崩壊を予測した。その予測理論は実に簡単で、いろいろ応用ができると思われるので、ここで紹介したい。

(1) ベルリンの壁の存在期間

 壁が建てられてから8年後に、たまたま見にきたゴッドV世は築年数だけで存続期間を見積もる方法を思いついた。
その方法とは・・・

 壁の寿命を四期にわける。特別の理由がない限り、自分が見た時期はこの期間のどこにあってもよい。そこで、この真ん中2つの4半期からなる期間に見に来ている可能性は50%だ。すると、もし、Aの時期に居合わせたのなら、その時点で寿命の4分の1が過ぎ、4分の3が残っている。Bの時期に居合わせたのなら寿命の4分の3が過ぎ、残りは4分の1である。
 彼がベルリンの壁を見たのは、建造されてから8年たっていたので、その時がBならあと8÷3≒2.7年。もし、Aなら8×3=24年となる、と予想した。つまり、50%の確率で2.7〜24年で崩壊すると予言したのだ。

          ┌        50%        ┐
始         A                    B         終
└――――――┴――――――┴――――――┴――――――┘

 実際にそれから20年後の89年にベルリンの壁は崩壊した。

(2)人類の種として寿命

 次に、彼はこの予想確率を95%に高めた。それは、観測をめぐって特別なことは何もないことを前提とすると、存続期間の中央95%の間に対象を見ている可能性は95%。その末来は最短で過ぎ去った時間の39分の1(2.5÷97.5=1/39)。最も長くてその39倍もある(97.5÷2.5)。
 これで人類(ホモ・サピエンス)の生存期間を予測してみる。誕生してから20万年が過ぎている。今後の存続する期間は、95%の確率で、200000÷39=5100年から、200000×39=780万年となる。早ければ5000年後に人類のカタストロフィーがやってくるということだ。
 ただし、今という時が特別の時ではないということを前提にしている。(コペルニクス原理)

 2.5┌               95%                ┐2.5
始  A                                  B  終
└―┴―――――――――――┴―――――――――――┴―┘

 これは、原人や他の哺乳類の種としての総寿命ともよく合う。だから今のうちに保険をかけておいたほうが良い。

(3)有人宇宙計画の寿命

 その保険とは何か。彼は宇宙計画にも寿命があることを示し、今のうちに火星に移住させる必要があることを主張している。そして、私たちが太陽系に自活できる移住地を築けば、人類のカタストロフィーに対して保険をかけたことになると。そして、その時期は今をおいて他にないというのだ。
 有人宇宙計画の経過年数は(1961年ガガーリン)41年である。これが後何年続くか予測してみよう。95%の確率で、計画が存続するのは(41÷39≒)1年から(41×39≒)1599年となる。これを見ると何も急いで移住させる必要がないと思われるかもしれないが、文明の崩壊、科学技術の喪失、経済力の減少などの理由で宇宙飛行ができなくなるかもしれないというのだ。
 そして、60年代に月へ行っておいてよかったのだ。月飛行がもっと簡単な時代を望み、あと30年待ち続けていたら、決して月へは行けなかっただろうと述べている。

 1961年(ガガーリン)→1969年(アポロ11号月へ立つ)→1972年(アポロ17号でアポロ計画終了)アポロ計画で人類が月へ立ったのはわずか3年。あまりにも短い。そして今では、30年前に月に人類が立ったことすら知らない人たちもいる。私は授業でこのことを話しながら不思議な感じに襲われる。この子達の生まれるずっと前に人類は月へ行ったのに、今月へ誰も行っていないのはどうしてなのだろうかと。

(4)なぜ月旅行ができないのか

 現在、スカイラブ(1981年)を経て、スペースシャトルの宇宙計画が続いているが、アポロ11号が月へ降り立ったとき、やがて、誰でも月旅行ができると思った人が多いと思う。ところがあれから30年も経っているのにそうならなかった。
 結局、月へ行くのはお金がかかりすぎて、経済的ではなかったことになる。それ程の金を集めれたのはアメリカ合衆国だけ。もちろん企業は儲けがなければ取り組まない。だから、あれから30年も経ったのに月へ行くことが一般化していない。そして、アポロ計画を行うための経済力、科学技術力、組織力は、とてつもないものだったのかもしれない。
 とすると、あのアポロ計画とは何だったのか。月へ行っても儲けにはならないということがわかったということか。宇宙に飛び出したことによって、相対的に地球を見れたことか。月へ行ったことで、かえって地球しか住めるところはないとわかったことか。単に米ソの競争の結果だったのか。
 今の世界では、ツリー型の巨大科学(アポロ計画)ではなく、ネットワーク型の巨大科学(インターネット産業)へと移行しているように思える。アメリカの計画によると、2019年までに人間を火星へ送るという。本当にできるのだろうか。

 さて、この寿命予測理論には二つの仮定がある。それは、(1)モノやコトには始めと終りがあるということ、(2)今という時が特別の時ではないということである。とすると、人間の年齢にはこれをあてはめる事はできない。では、宇宙の年齢についてはどうだろうか?

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    『アポロ』             ポルノグラフィティ

みんながチェック入れてる 限定の君の腕時計は デジタル仕様
それって僕のよりはやく進むって本当かい? ただ壊れてる

空を覆う巨大な広告塔には
ビジンが意味ありげなビショウ
赤い赤い口紅でさぁ……

僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもう
アポロ11号は月に行ったっていうのに
僕らはこの街がまだジャングルだった頃から
変わらない愛のかたち探してる

大統領の名前なんてさ 覚えてなくてもね いいけれど
せめて自分の信じてた夢くらいはどうにか 覚えていて

地下を巡る情報に振り回されるのは
ビジョンが曖昧なんデショウ
頭ん中バグっちゃってさぁ……

僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもう
アポロ計画(*3)はスタートしていたんだろ?
本気で月に行こうって考えたんだろうね
なんだか愛の理想みたいだね

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参考文献:サイアス’98 1月号「人類の未来」5000年後からが危ない?人間よ、早めに宇宙へ

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