鉛筆の研究(一本の鉛筆の向こうに)
あなたの持っている鉛筆を全部出して下さい。いろいろな形(丸、6角形、3角形)、色、HやHBやB等の濃さ等がありますね。ここでは木を研究したいと思います。
けずったところの木をよく見て下さい。3種類に分けることができます。
(A)年輪の入った木の鉛筆
(B)木に小さな穴がたくさんある鉛筆
(C)年輪もなく、穴もない木の鉛筆(又は、エコマークがついている鉛筆)
さあ、自分の鉛筆を分けてみましょう。
◎分けてみて気がついたことを書いてみて下さい。
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・エコマークのついた鉛筆を始めて知った。
・鉛筆にも年輪があることがわかった。
・年輪のある鉛筆の木は、アメリカのシェラネバダ山脈で育った
インセスシダー(ヒノキ)で樹齢100年はたっている。
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◎小さな穴がたくさんある鉛筆はどこで育った木でしょうか。
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・年輪がないということは、熱帯地方で育った木
・冬がないところで育った木
・インドネシアで植林している。30年で大きくなる。
・一定の大きさがないと鉛筆の材料にはならない。
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◎エコマークのついている鉛筆はどんな木を使っていると思いますか。 -------------------------------------------------------------
・リサイクルの木
・小さな木をつなげたもの(つなぎ目がある)
・ダンボールを圧縮して木にしたもの(再生木)
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◎先生の話を聞きましょう。質問があったら出して下さい。
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・三菱鉛筆の山形工場の所長さんから聞いた話
シェラネバダ山脈のしまふくろうの話
インセスシダーはもうじきなくなる。(10〜20年で)
インドネシアには計画的に植林している。
・今は、シャーペンが多くなっている。
・50年ほど前には、日本の木を使っていたが、大きな木がなくなったので、外国の木を使っている。
・再生木は割高になる。
(三菱鉛筆山形工場 西本工場長に電話でインタビュー )
質問1:木は桧(ひのき)しかダメなのか?
答:正確にはインセンスシダで桧の仲間。柔らかくて組織が均一で鉛筆に最適。杉だと年輪が堅いしささくれる。北米のカリフォルニアやオレゴンで自然に成長したもの(100年)を伐採している。アメリカは国有林が多く(85l)民有林で伐採しているが、10年か20年以内にいずれは枯渇してしまう。また、まだらふくろうが森に生息していて(樅の木に巣を作るのだが)インセンスシダを切るのも規制されている。 そこで、インドネシアに生えているジェルトンという南方材を使いつつある。これは、30年から40年で成長するので計画的に植林できる。年輪がなく小さな穴があいている(多孔質)鉛筆はインドネシア産。 また、リサイクルで段ボールや古新聞で板を作りエコマークをつけて売っているのもある。エコ9900や9950がそれで、普通の9800より10円高い。
質問2:日本ははじめから輸入していたのか?
答:今でもしなのきは使えるが、材質や直径が細いこと削りにくいことからうちでは使っていない。また、戦前はあららぎ(いちい)を使っていたが、日本全国のを大正末に伐採し尽くした。
質問3:この頃鉛筆の売れ具合は?
答:毎年1けたlは需要が減少している。理由は、児童数の減少、シャーペン、ワープロである。
質問4:1本の鉛筆の値段で板と芯と接着剤や塗料、印刷代が占める割合は?
答:9800で40円の鉛筆の場合。板は62l、芯は26l、接着剤や塗料、印刷代は12l。板ははじめから1等2等という様に等級されて輸入されている。芯も黒鉛と国産の粘土を混ぜる。黒鉛(粒子の荒さ、純度が違う)は砂粒が混じっているので精錬するし(精錬メーカーが)、粘土も水でふるい分けて細かくしてから焼いている。高級品だと板のlは下がってくる。(たぶん黒鉛の原料としての値段は12lの半分にも満たないであろう。わたしの予想) -------------------------------------------------------------
◎この研究をして思ったことを書いてみましょう。