級数の和を求める美しい公式

―Σk2,Σk3の公式を平面で求める方法―

1、級数の和を求める

級数の和を求めるときに、その級数の一般項を求め、 (2k2+3k+1)=2Σk2+3Σk+Σ1と分解して計算することができる。
この時、Σk=n(n+1)/2は簡単に求まるが、Σk2をどう計算するかということが問題となる。
ところがΣk2=1+22+32+・・・+n2は簡単には計算できない。
そこで、工夫されたのがこの教材。

写真のような階段型の立体の四角錐をいくつか用意する。(生徒たちに一人一個作ってもらい、それをグループ6人で合わせる)
この四角錐は底面が42個,次の面が32個,22,1という様に積み上げてある。
そして、3個の四角錐を組み合わせたのが右の写真。
heihousuuwa1.jpg(7077 byte) heihousuuwa2.jpg(5951 byte)







写真では3つで一段下がった直方体ができるので、 同様のをもう一組合わせると、6個で体積がn(n+1)(2n+1)の直方体になる。
この立体は四角錐なので、3個合わさると四角柱になることを利用している。

こうやって公式を導くという実践であったが出遇ったのは教研集会。
これがとても印象的で、高校の数学もこのように楽しくやれるのだということを知った。
そして、それ以来「わかる」ということと「モノ」とをつなげることを常に意識した。 逆に、自分が考える時もいつも「モノ(教材)」を媒介にして行うようにしている。

2、級数の和の求め方

次は、Σk3=1+23+33+・・・+n3である。
ところが、これは3次なので4次元の立体になってしまう。
これを何とか表現できないかと考えていたがどうもうまくいかない。
先日「話題源数学」を見ていて、Σk2を平面で説明している証明に出会った。 ⇒【自然数の平方の和Σk2】宮下善郎氏の実践
この証明の優れている点は平面でできるということを示したこと。
これを見て、縦に積んであるのを横に持っていったらどうかと考えたが、そうすると空白の面積が合わない。

そこで、公式をΣk2からΣk(k−1)としてみた。
すると、とてもわかりやすい図になった。
この図は、Σk(k−1)=2・1+3・2+4・3+・・・n(n−1)を求めたもの。



それぞれの小さい長方形が、2・1+3・2+4・3+・・・+n(n−1)=2+6+12+20+・・・となっている。
この全体の長方形の縦の長さはn+1で、横の長さはn(n−1)となるが、そのわけは、

中の小さい長方形2・1+3・2+4・3+・・・n(n−1)の横だけを見ると、
1+2+・・・+(n−1)=n(n−1)/2。それを二つ並べたからn(n−1)。
色のついていない残りの部分は、
横に区切ると1+(1+2)+(1+2+3)+・・・+(n(n−1)/2)と並んでいるのでΣk(k−1)/2
二組あるので2+6+12+・・・+n(n−1)=Σk(k−1)。
したがって、3Σk(k−1)=(n+1)n(n−1)となって、とても単純な式になる。

しかも、この方法だと三次式もできる。



4次でも同様だということは、この図からわかる。
そうすると、次の公式が自然に予測できる。



この式はとても美しいと思う。
そのわけは、この式の方がより本質的だと感じるからだ。

3、いろいろな級数の和を求める

S:Σk2はΣk3は計算しやすいけど、Σk(k−1)だと・・・
T:大丈夫。この公式を使えばこれらも簡単に求めることができるよ。
 例えば、Σx2は上のアプレットの計算のように求めることができる。
S:それにいろいろな式をk(k−1)やk(k−1)(k−2)に直すことも思ったより簡単にできるよ。
S:Σk2の公式よりもこの公式は覚えやすいので使いやすい。

この続きはジオジェブラブック級数の和

S:こうやって数列を扱っていると、数列が身近になって来るな。
S:この階差0項数列を使えば、形式的に和の公式を求めることができる。
S:階差0項数列を逆に使うと、いろいろな級数を作ることやそれらの間の関係もわかってくる。
S:階差0項数列でこんなことがわかったよ。
 (1/1!)(k−1)=(1)・・・階差0項数列
 (1/2!)k(k−1)=(11)
 (1/3!)k(k−1)(k−2)=(011)
 (1/4!)k(k−1)(k−2)(k−3)=(0011)
 (1/5!)k(k−1)(k−2)(k−3)(k−4)=(00011)
S:面白いな。


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