二次方程式の根の視覚化

二次方程式の正体

1、二次方程式の根をグラフに表す

T:二次方程式 χ2+aχ+b=0 は必ず二つの根を持ちます。
 これをy=χ2+aχ+b という関数にすると、下のグラフになります。

S:y=0の時のχが根だから、χ軸との交点が根ですね。
S:あれ、二つじゃないよ。根は一つだよ。
S:aを動かしてみると二つだよ。これは二つの根が重なったんだよね。
T:こういう根を重根と言います。
S:係数をいろいろ変化せてどんな根になるか調べてみよう。
S:ところで、グラフがχ軸と交わらないときは・・・



S:χ軸よりも上に行くから、根が無くなる。
S:でも、公式に当てはめると解は出るよ。
S:χ=√の中がマイナスだから実数ではない。
S:例えば、χ2+2χ+2=0の時、χ=−1+√−1と−1−√−1だ。
  ちゃんと二つの解がある。
S:でも、これは座標には表せないよ。
T:こういう数を虚数と言います。
S:この青い点はどういう意味があるんですか?

2、二次方程式の虚根を見えるようにする

T:これは、解を実数=αと虚数β√−1に分けて座標にします。さっきの場合なら、(α,β)=(−1,1)です。
S:y軸を虚数にしたわけですね。そうすると、実数はβ=0の場合ということになる。
T:このとき、√−1=iとして、方程式の根をχ=α+βiで表す。そして、これを方程式に代入してみると・・・
S:(α+βi)2+2(α+βi)+2=0   i2=−1だから、  (α2−β2+2α+2)+(2αβ+2β)i=0
S:これは実部と虚部に分かれますね。
  実部は双曲線で虚部は2本の直線だ。
S:これをガウス平面で表すと、



S:これだと、元のグラフがχ軸の上に来ても必ず根は二つありますね。
S:しかも、根はいつも対になっています。
S:こちらの双曲線の方が本体ということですね。でも、そうなると元の点線のグラフは一体何だろう?

3、ガウス平面上での二次方程式

T:大事なことですね。考えてみましょう。さっき、二次方程式を関数と考えたでしょう。
S:そうか。y=χ2+aχ+bでy=0の時と同じように、z=α2−β2+2α+2と考えればいいんだ。
 つまり、f(χ,y)=χ2−y2+2χ+2。 これ、どんなグラフになるんだろう?
 このグラフを見ることはできますか?
T:ジオジェブラには三次元空間のグラフができます。そして、見る位置は自在に変えることができます。

S:面白いな。意外と複雑ですね。これは・・・馬の鞍みたい。
T:この鞍のような曲面を双曲放物面と言います。上から見た図がガウス平面のグラフと同じです。
S:もう一つ虚部2αβ+2β⇒z=2y(χ+1)も必要ですね。
T:これは、左のh(χ)の丸をクリックすれば現れます。
S:わかった。この双曲放物面を真横から見た図が普通の放物線のグラフだ。


茶色が実部、水色が虚部
(1)どこに双曲線があるのか捜してみよう⇒真上から見る。
(2)根はどこにあるか捜してみよう⇒実部=0かつ虚部=0の所。

4、二次方程式の正体

S:だんだんわかってきた。二次方程式の平面のグラフも、実部の双曲線のグラフも双曲放物面を切りとったものなんだ。
 つまり、双曲放物面が本体で、放物線はこの曲面から見るとほんの一面なんだね。
T:また、二次方程式の根は徹底的に対称であることがわかるね。
 係数と根の間には、とても面白い関係がある。ここから体論が始まるよ。
S:二次方程式は必ず双曲放物面になるの?
S:双曲放物面以外にもあるのかな?
S:3次方程式や4次方程式、そして5次方程式の正体も調べたいな。

 ⇒【体論への誘い


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