包絡線の方程式の求め方

垂直二等分線の包絡線を求める

1、垂直二等分線の包絡線

T:この図はOBの垂直二等分線(赤い線)を作図したもの。点Bを左横に動かしてみよう。

S:あれ、赤い線が放物線を描くような気がする。
S:じゃあ縦に動かしたらどうなるんだろう?
 今度は横の放物線だ。他の曲線にはなるんだろうか?
T:今度は大きな円を描いてごらん。
S:この赤線を消すにはどうしたらいいの?
T:拡大するか縮小すれば消えるよ。
S:消えた。・・・これ楕円?
S:もしかしたら双曲線にもできるんじゃないかな?
T:この図の下のナビゲーターを先に進めてみて。まず7まで。
S:水色の点Cが出てきた。これを動かすと・・・。
 確かに放物線になる。これどこかでやったような気がする。
T:放物線の作図のところで、辺を中心に重なるように順番に折って放物線を作ったよ。⇒【放物線の折り方
S:思い出した。この中心が焦点だ。
T:じゃあナビを先へ進めて最後まで。
S:円が出てきたよ。この円に沿って動かすと・・・確かにきれいな楕円ができる。
S:中心を上に持っていくと、中心から外れる。・・・今度は双曲線になる。
S;これ本当に放物線になるの?

2、直線上を動く点の包絡線を求める

T:それをやってみよう。


T:まずAOの方程式は?
S:傾きと切片からすぐにわかる。y=1/αx。
T:次に垂直二等分線の方程式は?
S:垂直ということは「傾き」をかけると−1になるのだから、y=−αx+b、切片は中点を代入すれば求まる。
 y=−αx+0.5α2+0.5・・・@
T:さて問題はこの@の包絡線をどう求めたらいいのかということだ。
 変化する定数αを含むということは?
S:点Aを変化させると、方程式f(x,y,α)=0は、一群の曲線を表す。これは変数が3つあるよ。
T:そこで一つ消さなければならない。αを詳しく見てみよう。
 今、αが微小に変化してα+刄ソになったとすれば、その時曲線はf(x,y,α+刄ソ)=0となるから
 この二つの曲線の交点P(χ,y)に対しては、f(x,y,α+刄ソ)−f(x,y,α)=0が成り立つ。
 つまり、(f(x,y,α+刄ソ)−f(x,y,α))/刄ソ=0となる点が存在するのだから、 平均値の定理により、刄ソ→0ならしめれば
 f(x,y,α)=@をαで微分した値は0となる。
S:いまいちイメージがつかめない。
T:じゃあ、この図の下のナビゲーションを先に進めてみて。
S:もうひとつ点Eが出てきた。交点はFだ。
T:このEをAに近づける(刄ソを0に近づける)と交点Fはどうなる?
S:χ=αに近づいている。αで微分するということはそういうことか。
S:よし、@をαで微分してみよう。
 0=−x+α・・・A
 ちゃんとχ=αと出た。次はこれを@に代入すると、この交点の軌跡の式が出るということか。
 y=−0.5χ2+0.5となる。これが包絡線か。
S:確かに放物線だ。でも、どうして包絡線が求まるのかまだピンとこない。
T:Aは交点の位置を示すαの値でしょう。@とAからαを消去すると、@の曲線群の交点Pの軌跡を表しているよ。つまり@の曲線群の包絡線。
 図の「包絡線の方程式」と「接点を求める」をクリックするとPが見えるよ。
S:これらの曲線群(垂直二等分線)は包絡線の接線ということか。

3、円の上を動く垂直二等分線の包絡線は?

S:円の場合も同じなのかな? やってみよう。半径1の円を作って・・・



S:まず垂直二等分線の式を出すと・・・y=…(図)
S:包絡線の接線はこの垂直二等分線なのだから、その接点はどこにあるんだろう?
S:微分するとθが求まり、交点=接点がわかるはずだけど、θは消えていない。でも、@の式が出てきたよ。
S:そうか。@はy=tanθx+a。つまり中心とCを結んだ線だから、@と垂直二等分線の交点が接点ということか。
T:さっきと同様に円周上にもう一つ点を取って垂直二等分線を引き、前の垂直二等分線との交点をとる。
 そして円周上の点をCに近づけるとこの交点はどこへいく?
S:作図してみよう・・・。ちゃんとPに重なる。

S:試しにPBを結んでみると・・・。半径と同じだから楕円の焦点からの距離の和は一定なんだな。
S:それにしても微分って威力があるなぁ
T:この式から楕円の式を求めることができる。ぼくは何遍計算しても計算間違いばかり。でもできたときはうれしかったよ。
S:その結果をGeoGebraに入れて確かめれば、計算が正しいかどうかわかるね。

⇒【いろいろな包絡線・GeoGebra

参考文献「微分幾何学入門」岩田至康著

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