微分と積分

導関数と原始関数のグラフ

このページの目的は、導関数を求めることで微分を、原始関数を求めることで積分を体感することです。
そのために、まず微分を「関数の接線の傾きを求めること」と定義します。
 →≪微分の定義と計算

1、点Cの求め方

 例えば、関数 y=x2と、その導関数 y=2χをグラフにしてみましょう。

S:点Aは動かすことができるのですね。
S:導関数ってどうやって求めるんですか?
T:導関数はその関数の傾きを表わした関数です。傾きとは接線の傾きです。つまりBにおける接線の傾きがCなんです。
S:計算で求めると?
T:傾きは、$\frac{dy}{dx}$で出せます。実際に計算してみましょう。
 $\frac{dy}{dx}=\frac{(x+dx)^2-x^2}{dx}=\frac{2xdx+dx^2}{dx}=2x+dx$ ここでdxを限りなく0に近付けるとy=2xとなります。
S:導関数は計算で求めることはわかったけど、それが「接線の傾きです」と言われてもイメージすることが難しいな。
T:そうですね。ではこのイメージ作りを実際にやってみましょう。
 導関数 y=2χは、χにおける $y=x^2$ の接線の傾きを示していましたね。
 実際に接線を引いてみましょう。(4番目のアイコンをクリックして円の接線を選びます)
 点Cは点Bにおける $y=x^2$ の接線の傾きを表しています。

2、接線の傾きを数値で表す

 この接線の傾きを数値として具体的に表すために、接線の作る三角形に注目します。
 傾きはdy/dχですから、dχを1とすれば傾きの大きさがわかります。
 では図にしてみましょう。
S:まず接線を引くのですね。
 そうです。そして、接線の作る三角形(水色)の底辺の長さを1とします。
S:どうすれば底辺を1にできるのですか?
 Bからχ座標が−1の座標をとり、χ軸と垂直な線を引いて接線と交わった点がIです。
 その三角形の縦の長さAJが接線の傾きの大きさとなり、点Dのy座標となります。
S:つまりAJ=DBとなるようにDをとれば良いわけですね。
 そうです。このDの軌跡がy=2χとなるはずですね。


S:なるほど。確かにAを動かすと、それに伴って傾きが数値化され、Dが決まりますね。
S:これは三次関数でもできるはずですね。

 やってみましょう。・・・

S:なるほど、こうやって関数の接線を作図することによって導関数を求めることができるのですね。
S:それにこれだと接線の傾きの変化がイメージしやすいよ。
 これは面白いので、いろいろな関数の導関数を求めてみてください。
 →≪いろいろな導関数の求め方

3、接線の性質

 導関数を見つけることができたら、その逆を考えることができるはずです。
S:それが、原始関数を求めるということですか。
S:つまり、導関数からもとの関数を作図してみようというわけですね。
 そうです。でも、そのためには一つ、接線に関する大切な性質を発見する必要があります。
 それがこれ!

S:y=χ3の点Aにおける接線とχ軸の交点をCとし、y=3χ2のHにおける接線とχ軸の交点をIとすると、
IC=CB=GIだ!
 そうです。つまり、ICはGBの1/3になるということです。
S:何だか不思議な気がするな。
S:ということはy=χnで同じように接線を求めると、その足は・・・

このようになります。
きれいですね。  →≪べき乗関数の接線の足
この性質を使うと、元の関数を求めることができるんですよ。

4、原始関数の求め方

ある関数の接線の傾きの変化が導関数でした。
S:つまり、原始関数→導関数 。
では、逆を求めること(その原始関数を求めること)はどうしたらできるのでしょうか。
S:つまり、導関数→原始関数 。
ポイントはやはり接線の傾きです。
点Hが原始関数の値です。

点Aは原始関数の傾きですから、それを図で表します。
FBを1に設定してAと結ぶと傾きが図で示せます
原始関数の接線はこの傾きを持っています
S:傾きはわかるけど、どこを通るのかわからないとHは決まらないよ。
そうなんです。そこが問題なんです。そこでさっきの接線の足が役立ちます。
その接線とχ軸の交点の座標は、接線の性質(χ/n)からわかります
S:この場合はχ3なので、IBはχ/3となりますね。
その点から平行になるように引いた線が原始関数の接線です
S:こうやって求めた点Hの軌跡が原始関数なんですね。
S:でも、三角関数や指数関数だとどうなるんだろう?
良い疑問ですね。→≪面積から原始関数を求める

5、微分と積分の指し示し

S:こうやって積分と微分が逆のことだということがわかると、イメージしやすいな。
両方をまとめたシートがあります。→≪導関数と原始関数
S:ある関数を積分したり微分するときに、 その関数をベキ級数に展開できれば計算がとても簡単になりますね。
それが、テーラー展開なのです。→≪ベキ級数からオイラーの公式まで
S:つまり、難しい関数がベキ級数で表されるわけですから、導関数や原始関数も簡単に求めることができるということですね。



S:これを使って、y=χa(aが有理数の時)の導関数や原始関数を求めてみたいな。
S:指数関数y=eや三角関数の導関数や原始関数はどうなっているんだろう?
それは、このブックで。
ジオジェブラ・ブック≪微分法と接線
ジオジェブラ・ブック≪積分(原始関数)と微分(導関数)

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