円の面積 積分

面積と積分

円の面積を積分で求めるために

1、微分積分について

微分積分について学校で一通り習った。
計算も何とかできる。でも、何だかすっきりしない。
この感覚が何かははっきりとはしないのだが、経験上身体の感覚だと思う。
そこで取り組んだのが導関数をグラフから作ってみること。
もちろん式が分かれば計算で求めることができるのだが、導関数のグラフを元の関数の接線だけから求めてみようと考えた。
そうすれば、導関数について何か体得できるのではないかと感じたからだ。
そうしてやってみたのがこれ。【微分と接線・・・接線から導関数を求める方法

S:導関数って何?
T:ある関数のその点における接線の傾きの大きさをxの関数として表したもの。
S:導関数は何を求めているの?
T:例えば落体の落ちる距離から瞬間の速度を求めること。

結論を言うと、
ある点における接線とχ軸との作る直角三角形を基本として、 それと相似で底辺が1の直角三角形の高さは、その点における導関数のyの値である。


このように接線から導関数のグラフを描くことができる。
そして、この方法はベキ関数(指数が有理数)だけでなく、三角関数や指数関数にも当てはまることが分かる。

そうなると次は原始関数をグラフだけから求めたくなる。【積分(原始関数)と微分(導関数)】
それは、積分と微分が互いに逆の関係になっていることの体感的追求だった。

S:原始関数って?
T:導関数の元の関数のこと。
S:瞬間の速度から落ちる距離を求めるということか。

接線からは、微分とは違いベキ乗関数だけしか原始関数を作ることができなかった。
導関数を求める方法の逆によって原始関数を求める。


微分(導関数を求めること)と積分(原始関数を求めること)は互いに逆の演算である。
図で指し示すと、

       微分する
       dF(χ)/dχ
    F(χ)   →   f(χ)
 (原始関数) ←  (導関数) 
        ∫f(χ)dχ 
       積分する

2、積分と微分は互いに逆算法

ところで、微分が接線を求めることだとすると、原始関数を求めることはどういう意味があるのだろうか?

S:瞬間の速さから原始関数を求める意味ですね?
T:v=gtからy=gt2/2の場合は三角形の面積を求めている。
S:y=xやy=x2、y=x3の面積をどうやって求めたらいいのかということですね。

つまり、原始関数は面積を表している。
実際、ある関数のχ軸からの面積(関数)を微分すると、元の関数になる。


このことから、F(χ)=∫f(χ)dxと表わすことができる。(F(χ)’=f(χ)でもOK)
最初のアプレットも、接線の傾き(=変化率)が導関数なので了解できる。
また逆に見ると面積になっている。
ということは、面積関数を用いれば原始関数を求めることができる。

         →(接線)→
 原始関数            導関数
         ←(面積)←

3、球の体積の求め方

円の面積の初等的な求め方は簡単だ。
でも、そこには積分の初期的な概念がある。
では、その初歩的な概念から積分へはどうやって至るのだろうか。

その積分を身体で感じるために、簡単に求まる円の面積を積分で求めてみよう。
円の面積の積分を式で表してみると、 ∫√(r2−χ2)dx である。
この√の原始関数は何だろうか?
どうもわからない。
では、球の体積の積分はどうだろうか?

 【球の積分】

このように√が無いので、簡単に原始関数がわかり積分することができる。
球の体積の積分はとても簡単なのに、円となるととても難しいのはなぜだろうか。

4、円の積分

なぜ難しいのかというと√があるからだ。
そこで√を無くすテクニックである置換積分を使う。
つまり、χ=rsinθ と置き代える。

S:なぜsinにするの?
T:良い質問ですね。

まず、図を描いてみよう。
次のアプレット【円を等分にスライスする】

円をとても細かくスライスすると、スライスした形は台形からだんだんと長方形になる。
スライスした長方形の高さdχは一定。
この無限個の長方形の面積を合計することが積分だ。
でも、その原始関数がわからない。
そこで、巾を別の式に置き換えてみる。
円の場合三角関数を使うととても簡単で、しかも√を使わなくても良い。

【円を中心角で等分する】

この図を見ると、長方形の横の長さがrcosθとなって、見事に√が消えている。
でもそうすると今度はθで積分しなければならない。
つまり、dχもθに変えなくてはならない。
そこで、χ=rsinθを微分すると、dχ=cosθrdθとなる。
これで、∫√(r22)dχ=∫rcosθ・cosθrdθ=∫r2cos2θdθとなって、
これなら原始関数を求めることができる。

でも、気になるのがθ。
この図だとθは一定にならないような気がする。
そこで、今度はθを一定にした図を作成する。


5、dθの意味

この図のように、dθで積分をするためには長方形の縦の長さを求めなければならない。
縦の長さは、dθが十分小さくなると∠GFEがθに近づくので、rdθcosθとなる。
長方形の面積=rcosθ×rcosθdθを0からπ/2まで積分すると、円/4の面積がでる。
少し計算が複雑になるけど、三角関数の原始関数はわかるので何とか求めることはできる。

ここでふと気づいたのだけど、これはsinθの微分がcosθであることの証明になっている。

∫r2dθの積分
一方、台形でなく扇形で考えることもできる。
θをどんどん小さくしていくと、扇形は三角形になる。
この小さな三角形を0からΠまで合計すれば、扇形の面積となる。
「別のやり方」で書いたように、これが円の面積を求める積分の一番簡単な計算かもしれない。
そして、これは円の面積の初等的な方法であり、そこにはすでに積分の概念が含まれていることもわかる。

ジオジェブラ・ブック【面積と積分】

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